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肝炎ウイルス約15,000人の全国意識調査結果発表

公開日: 
2014/04/24

ウイルス検査率の低さ、早期治療による完治率に対する認知の向上や、治療費助成についての認知率の低さなどが浮き彫りに
 

ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:ブルース・グッドウィン、以下、ヤンセン)は、2013年11月15日から20日まで日本全国15,003人の一般国民を対象に「肝炎ウイルス検査、治療及び政策に関する全国意識調査」を実施しました。

 

日本には、B型およびC型肝炎ウイルスの患者・感染者は370万人いると推定され、そのうち約190~230万人がC型肝炎ウイルス、また約110万~140万人がB型肝炎ウイルスに感染していると推測されています1) 。わが国の肝がん死亡者数は、約3.3万人(2010年)で、その約80%はC型のウイルス、その約10%はB型のウイルスの持続感染に起因している2) ことから、これら潜在する感染者が検査を行い、適切な治療を受けることが急務の課題となっています。

 

C型肝炎の感染予防対策として日本では2002年から全国の地方自治体で無料検診の機会を提供し、一定の成果を上げていますが、自身の感染に気付いていないと考えられる感染者は80万人3) と推定されています。また、B型肝炎の感染予防対策として日本では1986年から「母子感染防止事業」を実施し、B型肝炎キャリアの妊婦から生まれる新生児に対するワクチン接種を開始し、キャリア率は0.04%にまで低下4) しましたが、依然として課題として残されています。この状況のもと、調査では、一般における疾患及び検査、治療などの認識の実態を把握し、肝炎ウイルス検査の受検率や肝炎ウイルスの治療率に影響を与える要素を探ることを目的として調査を実施しました。

 

その結果、今回の全国意識調査では、肝炎ウイルス検査への関心の低さ、無料の肝炎ウイルス検査や治療費の公費補助制度の認知度の低さが改めて浮き彫りとなる結果となりました。

 

調査結果の概要は添付をご参照ください。また都道府県別の調査結果も一部、後日、別途プレスリリース発表を予定しています。 

 

 

◆調査結果概要◆

・ 調査した15,003人中、半数以上が肝炎ウイルス検査を受けたことがないと回答。検査を受けたと推定される群の中で、自発的に検査を受けた人は全体の約1/4

・ 検査を受けていない理由として多いのは、「特に理由がない」、「自分は感染していないと思うから」、「定期的に受けている健康診断や人間ドッグの検査項目に入っていないから」

・ 肝炎ウイルス検査を受けていない人で、検査を受けようと思うきっかけは、「無料検診の知らせが送られてきたら」や「定期健康診断や人間ドッグのついでに検査できれば」が最多

・ 感染に気づいた場合、肝炎の治療を積極的に受けるようになるきっかけとしては、「治療費の個人負担が安い場合」、「仕事や家事を休まずに治療ができる場合」、「治療により完治する確率が高い場合」との回答が多数

・ 全体の約76%が、肝炎の治療の進歩による治癒率の向上についての認識がない

・ 肝炎の治療費の公費補助制度について知っているのは全体の10%

・ 肝炎ウイルス検査が無料で受けられることを知っているのは全体の13%。60代でも17%に留まる

・ 87%が肝炎治療費の公費補助制度の周知や啓発活動について「とても重要で、強化すべきだと思う」または「重要だと思う」と回答

・ 85%が肝炎ウイルス感染が疑われる人へのフォローアップが「とても重要で、強化すべきだと思う」または「重要だと思う」と回答

 
 

 「肝炎ウイルス検査、治療及び政策に関する全国意識調査」 ~調査結果~

 【調査方法】
◆調査主体:
 ヤンセンファーマ株式会社
◆調査対象: 一般国民(15,003人)を対象としたインターネット調査
 ※対象者の構成は日本全国及び都道府県レベルにおいて、性別、年令 (20代、30代、40代、50代、60歳以上)の項目で代表性が保たれるように設計した。
◆調査期間: 2013年11月15日~11月20日
この調査は、株式会社アンテリオに調査と分析を委託して実施。

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 ■調査した15,003人中、半数以上が肝炎ウイルス検査を受けたことがないと回答。検査を受けたと推定される群の中で、自発的に検査を受けた人は全体の約1/4

全国の15,003人に「肝炎ウイルス検査を過去に受けたことがあるかどうか」を尋ねたところ、半数以上(53%)の人が「受けたことがない」と答えた。検査を受けたと推定される47%の中でも、自発的に検査を受けた人は24%にすぎない。約半数の23%は、検査を受けた自覚はないが、手術や出産など事前のウイルス検査実施が一般化されている医療処置を受けたことから受検していると推測される。受検したウイルス検査は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス検査療法を同時受検している人が全体の11%と一番多かった。 
 

 ■検査を受けていない理由として多いのは、「特に理由がない」、「自分は感染していないと思うから」、「定期的に受けている健康診断や人間ドッグの検査項目に入っていないから」

また、検査を受けたことがない人を対象に、受けない理由を聞いたところ、「特に理由がない」(49%)が最も多く、次いで「自分は感染していないと思うから」(22%)、さらに「定期的に受けている健康診断や人間ドックの検査項目に入っていない」(18%)と続いた。他、「医療機関で勧められなかったから」(13%)、「どのような病気か、なぜ検査が必要なのか分からないから」(11%)が続いた。

 
■肝炎ウイルス検査を受けていない人で、検査を受けようと思うきっかけは、「無料検診の知らせが送られてきたら」や「定期健康診断や人間ドッグのついでに検査できれば」が最多

「肝炎ウイルス検査を受けていない」と回答した人では、検査を受けてみたいと思うきっかけとして、「無料検診の知らせが送られてきたら」(35%)や「定期健康診断や人間ドッグの検査項目にあって、ついでに検査できれば」(34%)という回答が最も多かった。次いで、「特にない・分からない」(31%)、「医療機関や保健所で検査を勧められたら」(21%)、「家族や知り合いに肝炎にかかった人がいることがわかれば」(14%)と続き、全体として検査に対して受動的な姿勢がうかがえる。

 

■感染に気づいた場合、肝炎の治療を積極的に受けるようになるきっかけとしては、「治療費の個人負担が安い場合」、「仕事や家事を休まずに治療ができる場合」、「治療により完治する確率が高い場合」との回答が多数

肝炎ウイルスに感染していることに気づいてもその多くが治療をしないまま病気が進行するケースが散見される状況を踏まえ、「肝炎の治療を積極的に受けるようになると思われるきっかけ」について聞いたところ、「治療費の個人負担が安い場合」(51%)、「仕事や家事を休まずに治療が出来る場合」(41%)、「治療により完治する確率が高い場合」(40%)の回答が続いた。治療が費用や生活を含めて負担にならないことや治療によって高い効果が得られることが治療に向かう動機付けになることが分かった。
 

■全体の76%が、肝炎の治療の進歩による治癒率の向上についての認識がない

近年、肝炎の治療の進歩により、肝炎は完治する確率が高い病気となっているが、このことを知っているかどうか全員に聞いたところ、「知っている」と答えたのは、わずか24%だった。76%が、「認識がない」と回答し、60代以上で69%が認識していなかった。

 

■肝炎の治療費の公費補助制度について知っているのは全体の10%

肝炎検査の結果抗ウイルス治療などが必要となった場合、治療費の公費助成が受けられることを知っているかどうか全員に聞いたところ、90%が知らないと回答。調査した20代から60代のすべての年代において認知率が低く、公的助成制度については一般に知られていないことが分かった。

 

■肝炎ウイルス検査が無料で受けられることを知っているのは全体の13%。60代でも17%に留まる

「肝炎検査が無料で受けられることを知っているか」の問いに対し、知っていたのは、全体の13%に留まった。年齢が高くなるにつれ、認知率はやや高くなる傾向は認められたが、それでも60代で17%と、無料で検査が受けられることの認知率は全体的に高くなかった。

 

 ■87%が肝炎治療費の公費補助制度の周知や啓発活動について「とても重要で、強化すべきだと思う」または「重要だと思う」と回答

治療の公費補助が受けられる制度について知らない人多かった中、これらの公費補助制度の周知や啓発活動の重要性について全員に聞いてみたところ、42%が「とても重要で、強化すべき」、45%が「重要だと思う」と回答。合わせて87%の人が制度の周知・啓発が重要であるという認識を持っていることが分かった。

 

■85%が肝炎ウイルス感染が疑われる人へのフォローアップが「とても重要で、強化すべきだと思う」または「重要だと思う」と回答

一部の都道府県では、肝炎対策計画に基づいて肝炎ウイルス検査の結果、肝炎ウイルスに感染している可能性が高いと判定された人に対して個別に、電話や文書で精密検査の勧めや専門医や医療機関の紹介、肝炎の知識が書かれた手帳の送付等、状況の確認を実施している。こうしたフォローアップの取り組みについてどのように思うか全員に聞いたところ、39%が「とても重要で強化すべきだと思う」、46%が「重要だと思う」と回答し、合わせて85%にのぼった。

  

参考文献
1) 肝炎総合対策の推進について 厚生労働省 健康局 疾病対策課 肝炎対策推進室)http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/hepatitis_about.html
2) 日本肝臓学会:肝がん白書 平成11年度より
3) 疫学的視点からみたウイルス肝炎の現状 広島大学 田中純子 平成24年7月
http://hgpi.org/handout/120726Prof.Tanaka28-3.pdf
4)国立感染症研究所 感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/iasr/21/242/dj2422.html

 

 

 

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ヤンセンについて
我々ヤンセンは、現代においてもっとも重要な「いまだ満たされない医療ニーズ」への対応と解決に力を注いでいます。これには、がん、免疫疾患、精神・神経疾患(中枢神経・疼痛)、感染症・ワクチン、代謝・循環器疾患が含まれます。患者への貢献という強い意思に基づき、革新的な製品、サービスを開発提供し、健康問題の解決に努め、世界中の人々を支援しています。ヤンセンファーマ株式会社は、ヤンセンファーマシュ―ティカルグループのひとつです。