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ヒト型抗IL-23モノクローナル抗体製剤「グセルクマブ」、 既存治療で効果不十分な掌蹠膿疱症を適応として製造販売承認を申請 -日本における生物学的製剤で初の掌蹠膿疱症治療薬を目指して-

2017/12/08

ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・フウリガン、以下「ヤンセン」)は、本日、ヒト型抗インターロイキン(IL)-23モノクローナル抗体製剤(一般名:グセルクマブ[遺伝子組換え]、以下「グセルクマブ」)を、既存治療で効果不十分な掌蹠膿疱症(palmoplantar pustulosis,以下「PPP」)を適応として製造販売承認を申請しました。

 

PPPは、手のひらおよび足の裏に無菌性膿疱が多発し、慢性に経過する難治性の皮膚疾患です。手のひらは常に人から見えること、足の裏は歩行時に痛みを伴うこともあることから、患者の生活の質(QOL)への影響は大きいとされています1),2)。また、これらの病変は膿疱が再発を繰り返し、紅斑や鱗屑(りんせつ)が長期に渡って持続することも、QOLの 低下に影響しています3)

 

日本におけるPPP の罹病率は0.12%で、患者数は約13 万人と報告されています4)。一方、欧米におけるPPP の罹病率は0.01~0.05%と報告されており5)、海外に比べて日本で多く認められる疾患です6)

 

PPP の治療は薬物療法を中心とした対症療法が主体で、第一選択は外用療法です。外用療法によりコントロールが難しい場合には、内服療法や光線療法を行います7)。しかし、これらの既存治療では効果不十分な症例や難治例が存在することから、既存治療では効果不十分なPPP 患者に対する新たな治療選択肢として、生物学的製剤が有効な治療手段になり得ると期待されています。

 

乾癬や掌蹠膿疱症の病態形成に関与するIL-23を選択的に阻害するグセルクマブは、局面型皮疹を有する乾癬患者を対象とした国内外の臨床試験で優れた有効性と良好な安全性が示されています。乾癬と同様にIL-17 を中心とした炎症性サイトカインの関与が示唆されるPPP においても、IL-23 経路の下流にあるTh17ヘルパーT細胞やその他の細胞からのIL-17/IL-22 産生を抑制することにより、PPPに対する改善効果が期待されています。

 

ヤンセンの代表取締役社長であるクリス・フウリガンは、次のように述べています。「既存治療で十分な効果を得られない掌蹠膿疱症の患者さんには現在、さらに治療を進める選択肢がありません。グセルクマブが生物学的製剤で日本初の掌蹠膿疱症治療薬となることによって、そのような患者さんの新たな治療選択肢となることを期待しています。当局と協力し、患者さんにこの重要な治療選択肢を一刻も早くお届けできることを楽しみにしています。」

 

なお、国内では既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症を適応として2017 年4 月に本剤の製造販売承認申請を行い、現在審査中です。

 

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは

掌蹠膿疱症は、手ひらおよび足の裏にみられる多数の水疱が臨床的特徴で、その水疱は膿疱化します。病変の周囲には紅斑が発現し、融合してプラークとなり、痒みを伴うこともあります。膿疱は2~4 週間のサイクルで再発を繰り返し、慢性的に進行して、これらの症状が膝、下肢および頭皮に拡大することもあります8)。また、患者数は男性に比べて女性に多く、40 歳代から50 歳代に多く認められています7)

 

ヤンセンについて

ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンは、病気のない世界を実現するために日々努力しています。今までにない、より良い方法で疾患を予防・撲滅・治療・治癒し、人々の命に貢献することが私たちの望みです。そして、常に患者さんのことを考え、最も有望なサイエンスを追及しています。私たちヤンセンは、人々の希望と命を明日につなぐため、世界中とコラボレーションしています。さらに詳しい情報はwww.janssen.com/japanをご覧ください。

 

参考文献

1) 大久保ゆかり. 掌蹠膿疱症はいかに患者のQOL を低下させるか? Visual Dermatol. 2012;11:1032-5.

2) Trattner H, et al. Quality of life and comorbidities in palmoplantar pustulosis - a cross-sectional study on 102 patients. J Eur Acad Dermatol Venereol.     2017 Mar 2.

3) 村上正基. 掌蹠膿疱症とニコチン性アセチルコリン受容体, kallikrein related peptidase (KLK)と鱗屑について. Visual Dermatol. 2012;11:1059-63.

4) Kubota K, et al. Epidemiology of psoriasis and palmoplantar pustulosis: a nationwide study using the Japanese national claims database. BMJ Open. 2015 Jan 14;5(1):e006450.

5) de Waal AC, et al. Pustulosis palmoplantaris is a disease distinct from psoriasis.  J Dermatolog Treat. 2011 Apr;22(2):102-5.

6) 山本俊幸. 掌蹠膿疱症の臨床: 掌蹠および掌蹠外の皮疹. Visual Dermatol. 2012;11:1018-21.

7) 小宮根真弓. 掌蹠膿疱症. In: 飯塚一, et al, editors. 皮膚科診療プラクティス 16 乾癬にせまる. 2004. p. 210-4.

8) 清水宏. 14 章 水疱症・膿疱症. あたらしい皮膚科学 第2 版. 2011. p. 222-48.

 

【本件に関するお問合せ先】

 ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部 

TEL:03-4411-5046   FAX: 03-4411-5050  E-mail: [email protected]