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米J&Jがポール・ヤンセン奨学金プログラムを設立 ~コロンビア大学と合同で神経科学分野におけるトランスレーショナル・リサーチを支援~

公開日: 
2004/12/11

米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、このたび統合失調症やアルツハイマー病、てんかんといった脳関連疾患のための医薬品の発見、および治療の促進に焦点をあてた特別奨学金プログラムの資金とするため、米コロンビア大学医療センター(CUMC)に500万ドルの助成金を交付することを発表しました。

 

この助成金により、神経科学分野における臨床への応用研究、いわゆるトランスレーショナル・ニューロサイエンスにおけるポール・ヤンセン奨学金プログラムが設立されることとなります。この奨学金プログラムは、文字通り昨年急逝したポール・ヤンセン博士の生涯と業績を称えるものです。20世紀屈指の多産な医薬品研究者として、博士は現在も広く世界中で使用されている80以上の医薬品の基礎を築いたという功績を残しています。

 

「この重要な助成金は、コロンビア大学においてわれわれが秀でていることのひとつ、つまり前臨床段階における発見を医薬品開発にとって実用的な知識に変える、あるいは応用する研究を行うのに役立つでしょう。また同様に重要なこととして、日々の患者治療から得られる観察結果は再生され、治療に重点をおいた我々の基礎研究を方向転換することに役立つことになると思います。」と、コロンビア大学医療センターの上級副センター長兼学部長のゲラルド・フィシュバック氏は述べています。「科学者たちは研究所において大きな進歩を遂げていますが、そうした知識が臨床で使用されるようになるスピードは十分なものではないのです」。

 

世界最大級のトータル・ヘルスケア・カンパニーであるJ&J、研究・医学教育・患者治療の卓越した施設であるCUMC、今回の両者の提携はトランスレーショナル・リサーチに携わる研究者を支援するための貴重な掛け橋となるものです。

 

J&Jによる300万ドルの助成金の主要部分は、若い研究者を対象としたものとなります。脳や身体の疾患に関する将来有望な研究を行っている若手の医学研究者は、二年間の交代制の「ポール・ヤンセン・トランスレーショナル・ニューロサイエンス・リサーチ特別研究員制度」を利用できることになっています。

 

また、これに加えて200万ドルで、すでに実績のある研究者のための寄付を伴う「ポール・ヤンセン・クリニカル・ニューロサイエンス教授職制度」が提供されます。この教授職に任命されるのは、トランスレーショナル・サイエンスに焦点を当てた研究にも時間を費やしている開業臨床医となります。このポール・ヤンセン・クリニカル・ニューロサイエンス教授職制度は、体および全身の健康に脳が及ぼす影響の研究だけでなく、精神疾患のための臨床診断試験および新規治療法への基礎研究の応用に対して与えられる予定です。

 

「わが国有数の医療研究施設であるコロンビア大学医療センターへの助成金提供によって、われわれはポール・ヤンセン博士の類い稀なる功績を称えたいと思います」と、J&J会長兼CEOのウィリアム・ウェルドンは語っています。
「この助成金が、神経科学分野における博士の発見に大きく貢献した基礎研究と臨床の連携をさらに促進することを希望いたします。」

 

1953年、ポール・ヤンセン博士はベルギーで父親が経営する輸入会社の空き部屋によって、新しい製薬会社を始めました。ある日一人の友人と、アンフェタミン中毒を起こしているプロの自転車競技選手の奇妙な行動について話をしているとき、博士はその選手の興奮状態と妄想型統合失調症の人々の行動との間の関連性に気づきました。博士がマウスを用いて行ったアンフェタミンの作用を阻害する物質の研究は、最終的にヒトにおける統合失調症治療に革命を起こす物質となったのです。 J&Jグループの一員である今日のヤンセン・ファーマシューティカルズは、ポール・ヤンセン博士が興した小さな会社から発展したものです。

 

ほぼ50年前に博士が発見した代表的物質の一つであり、世界初の高い効果を持つ抗精神病薬ハロペリドールは、今も新規治療法の開発にとってトランスレーショナル・リサーチがいかに有望なものであるかを示す貴重な教訓ともなっています。博士とその仲間は胃腸病学、精神医学、神経学、真菌学、寄生虫学、麻酔学、アレルギー学といった多様な分野において、数多くの革新的な医薬品を発見しました。

 

CUMCは、基礎研究、前臨床研究、臨床研究、医学教育、医療において国際的にリーダーシップを発揮しています。同センターでは医療界の将来のリーダーに対する訓練を行っており、内科・外科学部や歯学・口腔外科学部、看護学部、公衆衛生学部、文理大学院生物医学部、その他の関連研究センター、研究施設において多数の医師や科学者たちが熱心な研究を行っています。医学における重要な進歩や発見の一翼を担ってきた歴史と伝統を持つ同センターの研究者たちは、21世紀もこうした革新的な力を保持し、さまざまな分野の重大な疾患に取り組むための新たな治療法や技術的進歩を開発することでしょう。