Skip to main content

貼るタイプの疼痛治療剤 「デュロテップ®MTパッチ」の効能追加承認のお知らせ ~非がん性の慢性疼痛治療への使用が可能に~

2010/01/23

 米ヘルスケア大手、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品日本法人、ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:トゥーン・オーヴェルステンズ)は、経皮吸収型持続性疼痛治療剤「デュロテップ®MTパッチ」(一般名:フェンタニル) の追加効能となる、“中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛”の承認を、去る1月20日付けで取得しましたのでお知らせします。

 

  「デュロテップ®MTパッチ」は、痛みを和らげる有効成分(フェンタニル)を粘着層に溶解させた薄い半透明フィルム状の経皮吸収型製剤(貼り薬)で、フェンタニルが皮膚を通して少しずつ体内に吸収され、1回の貼付で3日間、鎮痛効果を持続させることが可能です。

 

  本剤はこれまで“中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛”を適応とし、いわゆる、がん性疼痛の治療薬としてのみに使用されてきました。(*1)一方、欧米などの諸外国においては、フェンタニル・パッチが非がん性の慢性疼痛においても広く使用されている実態を鑑みて、当社では2005年に国内第III相臨床試験を開始し、その後、2008年7月の承認申請を経て、このたびの承認取得へと至ったものです。

 

  一般に慢性疼痛とは、病気や怪我の治癒あるいは明らかな身体的異常が解消したにもかかわらず数か月以上にわたって続く痛み、または治癒が困難な慢性疾患によって長時間持続する痛みであるとされ、帯状疱疹後の痛みや神経障害による痛みなどがよく知られるところです。ある調査によると、わが国における20歳以上79歳以下人口の約23%にあたる2,200万人相当が慢性疼痛を抱えていると試算されており、その4割強にあたる1,000万人相当が痛み治療で既に通院してはいるものの、その更に4割弱、390万人相当の患者さんは既存治療で痛みが解消されていない状況に置かれているともされ、(*2)慢性疼痛患者さんの治療満足度の向上は喫緊の課題とも考えらます。

 

  当社では本剤が慢性疼痛に悩む多くの患者さんを苦痛から解放するとともに、患者さんが一日も早く「痛みのない」日常生活を取り戻すための一助となることを期待しております。

 

  デュロテップ®MTパッチは癌性疼痛および慢性疼痛の治療剤として、2004年にドイツで承認されて以降、今日まで世界79の国、地域で承認されています。(2009年8月時点)

(*1)本剤はデュロテップ®パッチ(2001 年10 月承認)に製剤的な変更を行い、2008 年3 月に
製造販売承認を取得した製剤である。
(*2) 出典 「慢性疼痛患者調査」(慶応義塾大学高木研究室,2009年1月)

 

[適正使用推進のための流通管理体制の構築について]

 

本剤の慢性疼痛に係る処方については、慢性疼痛の診断・治療に精通した医師によってのみ処方されるよう、今回の承認にあたり、薬事法第79条に基づく承認条件が以下の通り付され、製造販売業者に適正な流通管理の実施が義務付けられております。

【承認条件】

慢性疼痛の診断、治療に精通した医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に管理・説明できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いられ、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。

これを受け、当社では本剤の適正使用の推進を図るため、今般、新たな流通管理体制を設け運用に着手しましたので併せてお知らせいたします。その概要は次の通りです。

 

1)システムへの登録とトレーニングの受講 処方医師は当社の提供する、e-learningサイトに登録の上、講習を受講。2)確認書の発行 講習修了確認後、当社よりIDを印字した「デュロテップ® MTパッチ処方時の確認書」(以下、 確認書)を電子ファイルにて発行。3)確認書を用いた同意取得 処方医師は慢性疼痛治療のために処方する患者さんが本剤の効能・効果に合致すること を確認の上、確認書[患者保管用][医師保管用]の医師署名欄に自署。更に医療用麻薬の 取り扱いに関する注意点等を説明後、患者さん(または代諾者)からも署名を取得。4)確認書の交付および保管 確認書の内、[患者保管用]を患者さん(または代諾者)に交付し、薬局にて麻薬処方箋と ともに薬剤師に提示するよう指示。[医師保管用]は医療機関にて保管。5)確認書を用いた調剤 薬局において、患者さん(または代諾者)から確認書の提示があり、内容が確認された 段階で調剤。  
 

 なお、がん性疼痛の患者さんに本剤を処方、使用するにあたっては、講習の受講をはじめとした本流通管理体制は適用されません。

 

以上

 

<ご参考: デュロテップ®MTパッチの製品概要>

(※下線部は2010年1月承認時追加)

 

 

【承認】2008年3月19日 2010年1月20日(効能追加)【薬価収載】2008年6月20日【販売名/薬価】デュロテップ®MTパッチ2.1mg  / 1,926.20円 デュロテップ®MTパッチ4.2mg  / 3,467.80円 デュロテップ®MTパッチ8.4mg  / 6,538.90円 デュロテップ®MTパッチ12.6mg / 9,356.60円 デュロテップ®MTパッチ16.8mg / 12,047.70円【適応開始】2010年1月20日【製造販売】ヤンセン ファーマ株式会社【一般名】フェンタニル【薬効分類】経皮吸収型 持続性疼痛治療剤【効能・効果】非オピオイド鎮痛剤及び弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な下記疾患における 鎮痛(ただし、他のオピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する場合に限る。)  中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛  中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛     <効能・効果に関連する使用上の注意>     1.本剤は、他のオピオイド鎮痛剤が一定期間投与され、忍容     性が確認された患者で、かつオピオイド鎮痛剤の継続的な投     与を必要とする癌性疼痛及び慢性疼痛の管理にのみ使用す     ること。     2.慢性疼痛の原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、     依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の投与の適     否を慎重に判断すること。【用法・用量】本剤は、オピオイド鎮痛剤から切り替えて使用する。 通常、成人に対し胸部、腹部、上腕部、大腿部等に貼付し、3日毎(約72時 間)に貼り替えて使用する。 初回貼付用量は本剤投与前に使用していたオピオイド鎮痛剤の用法・用量 を勘案して、2.1mg(12.5μg/hr)、4.2mg(25μg/hr)、8.4mg(50μg/hr)、12.6mg (75μg/hr)のいずれかの用量を選択する。 その後の貼付用量は患者の症状や状態により適宜増減する。 

(2010年1月現在)