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「イムブルビカ®」の慢性移植片対宿主病に係る製造販売承認を取得

公開日: 
2021/09/27

 

ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「ヤンセン」)は27日、抗悪性腫瘍剤『イムブルビカ®カプセル 140mg(以下、イムブルビカ®、一般名:イブルチニブ)』について、「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」を効能又は効果として、製造販売承認事項一部変更の承認を取得しました。本剤は、成人および12歳以上の小児を対象としています。
慢性の移植片対宿主病(Graft-Versus-Host-Disease、以下GVHD)は、造血幹細胞移植後に発症する可能性のある疾患で、イムブルビカ®が血液がん以外で新たな適応を取得するのは、今回が初めてです。

 

造血幹細胞移植後、成人の30~70%1、また小児の20~40%2が慢性GVHDを発症すると推計されており、高いアンメットニーズのある領域です。現在、造血幹細胞移植後の慢性GVHDの治療は、患者さんの免疫系を抑制し、ドナーから移植された免疫細胞による患者さんの組織への攻撃を防ぐことを目的に、ステロイド剤による一次治療が行われています。しかし、慢性GVHD患者さんのおよそ50%3,4がステロイド依存性又は抵抗性となります。

 

今回の承認は、造血幹細胞移植後、ステロイド依存性又は抵抗性の慢性GVHDの患者さんを対象に米国で実施された第Ib/II相(PCYC-1129-CA)試験および、日本で実施された第III相(54179060GVH3001)試験の結果に基づくものです。これらの試験では、主要評価項目である全奏効率(ORR)においてイムブルビカ®の有効性、また安全性や忍容性が示されました。
また本承認は、青年期の慢性GVHD患者さんを対象とした海外第I/II相(PCYC-1146-IM)試験の中間データ、成人及び青年期患者さんを対象とした国際共同第III相(PCYC-1140-IM)試験でのイムブルビカ®の安全性及び薬物動態のデータにも基づいています。

 

ヤンセンの代表取締役社長である關口修平は次のように述べています。「慢性GVHDと闘う医師や患者さんにイムブルビカ®をご提供できることを大変嬉しく思います。イムブルビカ®が血液がん以外で適応を取得するのは今回が初めてであり、開発から今回の承認に至ったことを嬉しく、また誇りに思っております。ヤンセンは、イムブルビカ®の価値を最大化することで、アンメット ニーズが高く、かつ治療選択肢の限られた生命を脅かす可能性のある疾患に対し、革新的な治療薬をお届けできるよう、これからも尽力して参ります」

 

また、ヤンセンの研究開発本部本部長のアマナス・シャーマは次のように述べています。「多くの患者さんにとって、慢性GVHDは、血液関連疾患の長く非常に困難な治療の後に発症する可能性のある疾患です。イムブルビカ®による治療は、臨床試験において有望かつ持続的な臨床効果を示しました。これらの試験結果に基づき、イムブルビカ®が慢性GVHDの治療薬として今回承認を取得したことで、医師や患者さんに新たな治療アプローチをご提供できるものと期待しています」

 

臨床試験について5,6

PCYC-1129-CA試験は、造血幹細胞移植後の慢性GVHD患者さんで、ステロイド依存性又は抵抗性となった42例を対象とした、第Ib/II相、多施設共同、単群、非盲検試験で、イブルチニブの安全性及び有効性を評価しました。本試験において、イブルチニブの慢性GVHDに対する高い有効性と良好な安全性プロファイルが示されました。また54179060GVH3001試験7は、日本における第III相、多施設共同、単群、非盲検試験で、成人及び12歳以上の慢性GVHD患者さん19例を対象にイブルチニブの安全性及び有効性を評価しました。試験の結果、NIH Consensus Development Project Criteria(2014)に基づく8 全奏功率(ORR)は73.7%(95%信頼区間:48.8, 90.9)で、患者さんの10.5%は完全奏功(CR)を、63.2%は部分奏功(PR)を達成しました。また奏効例のうち、20週間以上奏効が持続した患者さんの割合は71.4%でした。本試験では、ステロイド依存性又は抵抗性の日本人患者さんにおいてイブルチニブの高い有効性及び良好な安全性プロファイルが示され、その結果はPCYC-1129-CA試験で認められた結果と概ね一致していました。

 

慢性GVHDについて

GVHDは、造血幹細胞移植後100日以内に起こりやすい急性GVHDと、100日以降に起こりやすい慢性GVHDがあります。ただし、100日以降に起こる急性GVHDや100日以内に起こる慢性GVHDもあり、通常、臨床症状および病理組織学的症状により分類されます。造血幹細胞移植を受けた患者さんのうち、最大70%9が慢性GVHDを発症するとされています。これは、ドナーから移植された免疫細胞が患者さんの組織を「非自己」と認識し、免疫応答を起こすことで発症し9、口内炎、息切れ、四肢及び関節の疼痛、肝障害による肝不全など、複数の臓器に影響を及ぼす可能性があります9,10。慢性GVHDは造血幹細胞移植後のがんに関連しない死亡の主な原因の1つです9

 

イムブルビカ®(一般名 イブルチニブ)について

イブルチニブは、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)を持続的に阻害することにより、慢性GVHDにおける異常な免疫応答を抑制します。
日本国内においてイムブルビカ®は、2016年3月に「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病 (小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応で製造販売承認を取得し、同年12月に「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」、2018年7月に未治療を含む「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応に対する承認を取得しています。
本剤は、ヤンセン・バイオテック社とアッヴィ社の傘下にあるファーマサイクリックス社が共同で開発しています。日本国内では、ヤンセンが製造販売しています。

 

ヤンセンについて

ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。

ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。

 

【本件に関するお問合せ先】

 ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

E-mail: [email protected]  TEL:03-4411-5046   FAX: 03-4411-5050

 

参考文献

  1. agasia MH, Greinix HT, Arora M, et al. National Institutes of Health Consensus Development Project on Criteria for Clinical Trials in Chronic Graft-versus-Host Disease: I. The 2014 Diagnosis and Staging Working Group report.
    Biol Blood Marrow Transplant. 2015 Mar;21(3):389-401.
  2. Jacobsohn DA, AroraM, Klein JP, et al. Risk factors associated with increased nonrelapse mortality and with poor overall survival in children with chronic graft-versus-host disease. Blood. 2011 Oct 20; 118 (16): 4472-9.
  3. Jaglowski SM, Devine SM. Graft-versus-host disease: why have we not made more progress? Curr Opin Hematol. 2014;21(2):141-147. doi:10.1097/MOH.0000000000000026
  4. Carreras E, Dufour C, Mohty M, Kröger N, eds. The EBMT Handbook: Hematopoietic Stem Cell Transplantation and Cellular Therapies. 7th ed. Cham (CH): Springer; 2019
  5. Miklos d, et al. Ibrutinib for chronic graft-versus-host disease after failure of prior therapy Blood 2017; 130 (21):2243–2250.
  6. Waller EK, et al. Ibrutinib for Chronic Graft-versus-Host Disease After Failure of Prior Therapy: 1-Year Update of a Phase 1b/2 Study Biology of Blood and Marrow Transplantation 2019;25 (10): 2002-7
  7. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666636721009386
  8. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25796139/
  9. Leukemia and Lymphoma Society. Graft Versus Host Disease. Available from: https://www.lls.org/treatment/types-of-treatment/stem-cell-transplantati.... Accessed August 2021.
  10. Grube, et al. Risk Factors and Outcome of Chronic Graft-versus-Host Disease after Allogeneic Stem Cell Transplantation—Results from a Single-Center Observational Study. Biol Blood Marrow Transplant: 2016; 22 (11): 1781-1791.