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アビラテロン酢酸エステルはハイリスクの予後因子を有するホルモン療法未治療転移性前立腺がん(mHNPC)の患者に対して、全生存期間および画像上の無憎悪生存期間を改善し、有意な臨床的有効性を提供

2017/06/05

※本資料は、米Janssen Research & Development社が2017年6月3日(現地時間)に発表したプレスリリースを翻訳したものです。発表内容のデータは、米国・シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2017)で発表した内容です。

 

  • ASCOプレスプログラムおよびプレナリーセッション(Abstract LBA3)にて--- 第Ⅲ相ピボタル試験LATITUDE試験:全生存期間(OS)および画像上の無増悪生存期間(rPFS)に有意な改善
  • LATITUDE試験のデータはBest of ASCOにも選ばれています

 

201763日、米国イリノイ州シカゴおよびニュージャージー州ラリタンにて発表

米・ヤンセン リサーチ & ディベロップメント社は本日、第Ⅲ相ピボタル試験であるLATITUDE試験において、アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾンとアンドロゲン除去療法(ADT)との併用が、プラセボ+ADTと比較して、ハイリスクの予後因子を有するホルモン療法未治療転移性前立腺癌(mHNPC)患者の全生存期間(OS)を有意に改善し、また画像上の無増悪生存期間(rPFS)も有意に延長することが示されたことを発表しました。この試験は、本日、シカゴで開催された2017年米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO 2017)のプレスプログラムに採用された4件のうちの1件として選ばれました。さらに、試験成績を6月4日の「プレナリーセッション」で報告します(Abstract LBA3)。これらは、ASCO 年次総会の最先端科学をハイライトする“Best of ASCO”にも選ばれています。

 

試験データから、アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾンとADTとの併用(アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾン+ADT)は、プラセボ+ADTと比較して、死亡リスクを38%減少させることが示されました(ハザード比[HR]=0.62 ; 95% CI [0.51~0.76], P<0.0001)。OSの中央値は、プラセボ+ADT 群が34.7ヵ月であったのに対し、アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾン+ADT群では中央値に未到達でした。さらに、アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾン+ADT 群では、プラセボ+ADT 群と比較して、mHNPC患者の画像上の増悪または死亡リスクが53%減少されたことが示されました(HR=0.47 ; 95% CI [0.39~0.55], P<0.0001)。rPFSの中央値は、プラセボ+ADT群の14.8ヵ月に対して、アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾン+ADT群では33.0ヵ月でした。

 

「LATITUDE試験において、アビラテロン酢酸エステル+低用量プレドニゾンをADTに併用することにより、ハイリスクの予後因子を有するホルモン療法未治療転移性前立腺癌(mHNPC)の患者さんに対して統計学的に有意で、かつ臨床的にも意義のある改善をもたらすことが明らかにされました」とLATITUDE試験の治験責任医師である国立がん研究センター東病院の松原伸晃先生は述べています。「この併用療法は、ハイリスクの予後因子を有するmHNPCと新たに診断された患者さんに対する、とても重要な新しい治療選択肢となりえます。これは、ホルモン療法の前治療を受けていない患者さんを対象として、化学療法以外の治療レジメンが患者アウトカムと全生存期間を改善することが可能であることを証明した初めての試験です。 欧米人と比べて化学療法に十分に耐えられない患者さんが多いアジアにおいては特に重要なことです。」

 

ホルモン療法未治療転移性前立腺癌(mHNPC)は米国では約3%、日本では約11%ですが、アジアパシフィックでは60%近くを占める国もあります1,2。歴史的にADTは転移性前立腺癌患者に対する標準治療の一つとして用いられています3,4 。ADTは転移している前立腺癌を縮小させたり、成長を遅らせたりするのに効果的ですが、大抵は時とともに効果が低くなります5。 

 

OSおよびrPFSの主要評価項目を達成したことに加えて、アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾン+ADT群ではすべての副次評価項目(痛みの増悪までの期間、前立腺癌に対する次治療開始までの期間、化学療法開始までの期間、前立腺特異抗原(PSA)が増悪するまでの期間(P<0.0001)、症候性骨関連事象(SSE)発現までの期間(p=0.0086)における統計学的に有意な改善)も達成しました6

 

「あらゆるステージで前立腺癌の進行に対するケアと治療は重要です。以前から治療が困難であるハイリスクの予後因子を有するホルモン療法未治療転移性前立腺癌(mHNPC)に直面している患者さんにとっては特にそうです」とヤンセンのバイスプレジデント兼前立腺癌疾患領域リーダーであるMarco Gottardis 博士は述べています。「私たちはホルモン療法未治療前立腺癌に対するアビラテロン酢酸エステルのこれら良好な結果に勇気づけられており、また、この重篤な疾患のあらゆるステージの患者さんにベネフィットを提供できる薬剤の開発に継続して取り組んでいます。」

 

全体として、アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾンと併用したADTの安全性プロファイルは、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者を対象とした以前の試験と一貫していました。5%以上の発現が見られたグレード3/4のイベントは、ADTと併用したアビラテロン酢酸エステル+プレドニゾン群 対 プラセボ+ADT 群でそれぞれ、高血圧(20%/0% 対 10%/0.2%)、低カリウム血症(10%/0.8% 対 1%/0.2%)、アラニンアミノトランスフェラーゼの増加(5%/0.3% 対 1%/0%)でした。

 

全般的に、ADTと併用したアビラテロン酢酸エステル+プレドニゾンの安全性プロファイルは、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)患者を対象とした以前の試験と一貫していました。5%以上の患者さんで報告されたグレード3/4のイベントは、アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾン+ADT群 対 プラセボ+ADT 群でそれぞれ、高血圧(20%/0% 対 10%/0.2%)、低カリウム血症(10%/0.8% 対 1%/0.2%)、アラニンアミノトランスフェラーゼの増加(5%/0.3% 対 1%/0%)でした。

 

ハイリスクの予後因子を有するホルモン療法未治療転移性前立腺癌について

すべての前立腺癌は同じではありません。その範囲は、前立腺に限局される癌から、リンパ節、骨、または体の他の部位などの前立腺以外に広がっている癌にまで及びます。前立腺癌の存在範囲または拡がりの程度でステージを判定します。以下の因子のうち少なくとも2つを有している患者をハイリスクの予後因子を有するホルモン療法未治療転移性前立腺癌の患者としています: グリーソンスコアが8以上(前立腺癌患者の予後を評価するために用いられる分類の一つです)、骨スキャンで3カ所以上の骨病変を有する、またはCT/MRIで測定可能な内臓転移(リンパ節病変は除く)を有する。

 

ホルモン療法未治療前立腺癌(HNPC)とは、患者がホルモン療法やアンドロゲン除去療法を受けていない場合の疾患の病期を指します7

 

新たにmHNPCと診断された患者、特にハイリスクの因子を有する患者の予後は不良です7。ADT+ドセタキセルの併用療法ではmHNPC における転帰が改善されたことが示されていますが、多くの患者はドセタキセルで治療することは必ずしも容易ではなく、代替の治療法からベネフィットを受けられる可能性があります8 。また、患者の大多数がADTを最初に開始しても時とともに効果が低くなります3,4,5

 

LATITUDE試験について6

第Ⅲ相ランダム化二重盲検比較試験であるLATITUDE試験には、ハイリスクの予後因子を有するホルモン療法未治療転移性前立腺癌と新たに診断された患者1,199名が参加し、欧州、アジアパシフィック、中南米、およびカナダの34ヵ国の235施設で行われました。このうち597名がADTと併用してアビラテロン酢酸エステル+プレドニゾンを投与する群(n=597)に,また602名がプラセボ+ADTを投与する群(n=602)に無作為に割り付けられました。組み入れられたmHNPC患者は,骨スキャン陽性またはコンピュータ断層撮影法(CT)または磁気共鳴画像法(MRI)にて転移病変が確認されており、さらに、予後不良な以下の3つのハイリスク因子のうち少なくとも2つを有しました:グリーソンスコア8以上、3箇所以上の骨病変、または測定可能な内臓転移。

 

ヤンセンはmHNPC患者に対する適応を追加するため、アビラテロン酢酸エステルについて、欧州医薬品庁(EMA)にタイプⅡの変更申請を提出しました。同様の申請は日本でも提出されており、またブラジル、スイス、台湾では審査中です。承認された場合は、アビラテロン酢酸エステルの使用が、現行の適応よりも前立腺癌のより早期のステージを含み拡大されることになります。

 

ザイティガ®(アビラテロン酢酸エステル)について

ザイティガ®は、アンドロゲン合成酵素であるCYP17を選択的に阻害することで抗腫瘍効果を示すCYP17阻害剤で、日本国内においては2014年7月に「去勢抵抗性前立腺癌」を適応として承認を取得しています。前立腺がんにとって重要な精巣、副腎、腫瘍組織自体という3つのアンドロゲン(前立腺がんの増殖を促進する)分泌源すべてでアンドロゲンの産生を阻害する作用を持つ唯一の承認薬です。現在100か国以上で承認されており、これまで世界中で290,000人以上の男性に処方されています。

 

参考資料

1. Weiner AB, Matulewicz RS, Eggener SE, Schaeffer EM. Increasing incidence of metastatic prostate cancer in the United States (2004-2013). Prostate Cancer Prostatic Dis 2016; 19:395-397.

2. Ito K. Prostate cancer in Asian men. Nat Rev Urol 2014;11:15-29

3. Gillessen S, et al. Management of patients with advanced prostate cancer: recommendations of the St Gallen Advanced Prostate Cancer Consensus Conference. Ann Oncol. 2015;26:1589-1604.

4. Cornford P, et al. Guidelines on Prostate Cancer. Part II: treatment of relapsing, metastatic, and castration-resistant prostate cancer. Eur Urol. 2017;71:630-642.

5. American Cancer Society. “Treating Prostate Cancer That Doesn’t Go Away or Comes Back After Treatment.” Available at: https://www.cancer.org/cancer/prostate-cancer/treating/recurrence.html. Accessed May 2017.

6. Fizazi K., et all. LATITUDE: A phase III, double-blind, randomized trial of androgen deprivation therapy with abiraterone acetate plus prednisone or placebos in newly diagnosed high-risk metastatic hormone-naive prostate cancer. ASCO 2017. Abstract #LBA3.