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抗悪性腫瘍剤「ベルケイド®」の皮下投与に対して欧州当局が肯定的見解を表明

2012/07/19

~新たな投与経路で安全性が向上し、患者さんと医療従事者の利便性が高まる

ご参考資料:
当資料は、ベルギーのヤンセン社が、2012年6月26日(現地時間)に発表した英文プレスリリース抜粋の翻訳版として、発表させていただくものです。従いまして、日本の状況を必ずしも反映したものではなく、正式言語が英語であるため、内容については英文リリースが優先されます。
英文サイト: http://www.jnj.com/connect/news/product/velcade-receives-positive-regulatory-recommendation-in-the-european-union-for-subcutaneous-administration

 

 [2012年6月26日 ベルギー・べルセ発] ヤンセン・シラグ・インターナショナルNV(以下「ヤンセン」)は本日、欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)より「ベルケイド®(一般名ボルテゾミブ)」の皮下注射用製剤の承認を支持する肯定的見解を得たことを発表しました。ベルケイド®は、血液がんの一種である多発性骨髄腫を適応症とする薬剤です。

ベルケイド®は、各種病型の多発性骨髄腫に対して様々な薬剤と併用され、効果的な管理に中心的な役割を果たしています[1,2]

 

今回のCHMPの肯定的見解は、再発性骨髄腫の患者さんを対象としてボルテゾミブの静脈内投与と皮下投与を比較した第Ⅲ相臨床試験に基づいて得られました。同試験では、ボルテゾミブの皮下投与は静脈内投与と同等の有効性を示しながら、副作用の頻度と重篤度は低いことが示されました。特に、ボルテゾミブの皮下投与では、同薬の副作用として高率で発生する末梢性ニューロパシー(疼痛や手足のしびれ)の頻度が有意に低いとの結果が得られました[1]

 

CHMPは、欧州連合(EU)において中央承認審査方式による承認申請について科学的評価を行う委員会です。CHMPの肯定的見解は欧州委員会に提出され、審査が行われます。欧州委員会の最終決定は2012年半ばとみられます。

 

ヤンセンの欧州・中東・アフリカ地域のカンパニー・グループ・チェアマンのジェーン・グリフィス(Jane Griffiths)は、「今回の肯定的見解は、多発性骨髄腫に苦しむ全ての患者さんがボルテゾミブの皮下注射が受けられるようになるためのきわめて重要なステップです。本製剤が承認された場合は、皮下投与は静脈内投与に加えての新たな投与経路となり、忍容性を向上しつつ高い有効性を保つことができるようになります」と述べています。

 

ボルテゾミブの皮下投与は、静脈路の確保が難しい患者さんや、末梢性ニューロパシーのリスクが高いか既に発症している患者さんなど、従来ではボルテゾミブの静脈内投与が治療選択肢とならないと考えられた患者さんに治療選択肢を提供します。

 

 

ボルテゾミブの皮下投与は、2012年1月に米国食品医薬品局(FDA)が多発性骨髄腫と再発マントル細胞リンパ腫の治療薬として承認しており、カナダの保健当局は2012年3月に多発性骨髄腫の治療薬として承認しています。

 

 

MMY-3021第III相試験について[1]
今回のCHMPの肯定的見解は、ボルテゾミブの皮下投与の非劣性を静注内投与との比較で検討する非盲検無作為化第Ⅲ相試験の結果に基づくものです。試験では再発性多発性骨髄腫の患者222例を無作為化し、皮下注射群と静脈注射群に割り付けました。皮下注射群では治療を4サイクル実施した後の全奏効率(ORR)は42%、完全寛解(CR)率は7%であるのに対し、静脈内投与群ではORRは42%、CRは8%でした。全般的な安全性プロファイルは両群とも同様でした。ただし、末梢性ニューロパシーの発現率には群間差がみられ、グレード3以上の末梢性ニューロパシーの発現率は皮下投与群では7%であったのに対し、静脈内投与群では16%でした。全グレードの末梢性ニューロパシーの発現頻度は、皮下投与群は38%、静脈内投与群は53%でした。治療中止率は、皮下投与の方が静脈内投与より低いことが示されました。

 

 

ベルケイド®(一般名ボルテゾミブ)について
ベルケイド®(ボルテゾミブ)は、多発性骨髄腫と呼ばれる血液のがんに使用される薬です。強力、可逆的かつ選択的なプロテアソーム阻害剤であり、世界初の本作用機序を有する抗悪性腫瘍剤です。プロテアソームは細胞内に存在する酵素複合体で、細胞周期制御因子、シグナル伝達因子、転写因子、癌遺伝子及び癌抑制遺伝子などの分解を担うことにより、細胞の増殖、分化及びアポトーシスを制御しています。本剤は、プロテアソームを選択的に阻害することで、癌細胞の複数の細胞内シグナル伝達系に影響を与え、細胞周期の停止、増殖抑制、血管新生抑制、アポトーシス誘導など腫瘍細胞に対して直接的な抗腫瘍効果を発揮します。

ベルケイド®は再発性多発性骨髄腫の治療におけるマーケットリーダーで、世界全体では30万人以上に投与されています。ベルケイド®は、武田薬品工業株式会社(本社:大阪市、社長:長谷川 閑史、以下「武田薬品」)の100%子会社である米ミレニアム・ファーマシューティカルズ社(Millennium Pharmaceuticals, Inc.)(本社:米国マサチューセッツ州)とジョンソン・エンド・ジョンソングループ、医薬品部門であるヤンセンファーマとの共同開発品です。ミレニアム社は米国での商業化、ヤンセンファーマは、欧州とその他地域の商業化を担当しています。日本国内では、武田薬品とヤンセンファーマ株式会社が、コ・プロモーションを行っています。

 

 

多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、不治の血液がんの一種で、骨髄で発生し、異常な形質細胞が過剰に増殖する病気です[3]。多発性骨髄腫は、骨髄の悪性疾患のなかでは2番目に多い疾患です。多発性骨髄腫は比較的まれながんで、全てのがん患者の約1%を占め、がんによる死亡例の約2%を占めます。ヨーロッパでの患者数は約6万人、毎年21,420例が新たに診断され、15,000例が死に至ります[4]

 

 

以上

 

 

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参考資料
[1] Moreau MMY3021 Mateos Commentary Lancet Oncology, Published online April 19, 2011. Available at: www.thelancet.com/oncology
[2] VELCADE EPAR http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/medicines/human/medicines/000539/human_med_001130.jsp&murl=menus/medicines/medicines.jsp&mid=WC0b01ac058001d124 [Last accessed March 2012].
[3] http://www.myeloma-euronet.org/en/multiple-myeloma/what-is.php [Last accessed March 2012].
[4] http://www.myeloma-euronet.org/en/multiple-myeloma/faq.php [Last accessed March 2012].

 

 
ヤンセンについて
我々ヤンセンは、現代においてもっとも重要な「いまだ満たされない医療ニーズ」への対応と解決に力を注いでいます。これには、がん、免疫疾患、中枢神経疾患、疼痛、感染症、代謝疾患が含まれます。患者さんへの貢献という強い意思に基づき、革新的な製品、サービスを開発提供し、健康問題の解決に努め、世界中のひとびとを支援しています。ヤンセンファーマ株式会社は、ヤンセンファーマシューティカル・グループのひとつです。

 

 

将来予測に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私募証券訴訟改革法で定義される「将来予測に関する記述」が含まれます。本記述を読まれる皆様は、これらの内容に依存することのないようご注意ください。また、本記述は将来の事象についての現在の予想を基礎とするものです。基礎となる前提が不正確であると判明した場合あるいは、未知のリスクや不確実性が具現化した場合、実際の結果は、ヤンセンジャパンおよびジョンソン・エンド・ジョンソンの予想や見通しとは実質的に異なるものとなる恐れがあります。リスクや不確実性には、産業において一般的な条件や競争、利子や為替の変動などの経済的要因、技術的な進歩、競合他社による新製品や特許の取得、規制当局による承認の取得を含む新製品の開発に本来伴う諸課題、特許に係る問題、医療用品やサービスの購入者の行動・消費パターンの変化や財政的困窮、政府の法律や規制の変更や国内外の医療改革、医療費削減への潮流および政府機関による医療産業への監督強化などが含まれますが、これらに限定されません。これらのリスクや不確実性その他の要因については、2012年1月1日に終了した会計年度のForm 10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の添付99に詳述されています。このForm 10-Kおよび追加提出資料はオンライン(www.sec.gov, www.jnj.com )、もしくはジョンソン・エンド・ジョンソンからの請求によりご覧いただけます。ヤンセンジャパン及びジョンソン・エンド・ジョンソンのいずれも新情報や今後の事象・変化などに基づいて将来予測に関する記述を更新する義務を負いません