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「イムブルビカ®」の原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫に係る製造販売承認を取得

2022/12/23

ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「ヤンセン」)は23日、抗悪性腫瘍剤『イムブルビカ®カプセル 140mg(以下、イムブルビカ®、一般名:イブルチニブ)』について、「原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫」を効能又は効果として、製造販売承認事項一部変更の承認を取得しました。

 

今回の承認は、海外で実施されたPCYC-1127(iNNOVATE)試験及びPCYC-1118E試験と、日本で実施されたWAL2002試験の結果に基づくものです。

 

ヤンセンの代表取締役社長である關口修平は次のように述べています。「いまだ治癒困難で、治療選択肢の限られた原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫の日本の患者さんに、イムブルビカ®をご提供できることを嬉しく思います。私たちは、アンメットニーズがあり、複雑で難治性疾患であるB細胞性腫瘍に対し、今後も新たなアプローチを引き続きご提供できるよう、努めて参ります」

 

また、ヤンセンの取締役 研究開発本部 本部長のアマナス・シャーマは次のように述べています。「今回の承認は、原発性マクログロブリン血症の患者さんを対象とした臨床試験において一貫した臨床上のベネフィットに基づくものであり、これら難治性の疾患とともに生きる患者さんにとって重要なマイルストーンとなります。私たちは、今後もイムブルビカ®の可能性を最大限に追求すべく、さまざまな臨床開発プログラムに取り組んで参ります」

 

臨床試験について

PCYC-1127(iNNOVATE)試験は、未治療及び再発又は難治性の原発性マクログロブリン血症の成人患者さん150例を対象とした、第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検プラセボ対照試験で、ランダム化パートでは、イムブルビカ®又はプラセボとリツキシマブ併用投与時の有効性及び安全性を評価しました。観察期間の中央値(範囲)は、主要解析時点でイムブルビカ®とリツキシマブ併用群26.7 カ月(4.6~38.9カ月)及びプラセボとリツキシマブ併用群26.0カ月(0.5+~37.3カ月, +:打切り例)でした。主要評価項目は無増悪生存期間であり、独立評価委員会判定による主要解析時点の無増悪生存期間の中央値は、イムブルビカ®とリツキシマブ併用群で未到達(95%信頼区間:35.0~NE)、プラセボとリツキシマブ併用群で20.3カ月(95%信頼区間:13.7~27.6)であり、イムブルビカ®とリツキシマブ併用群で有意な延長が認められました(ハザード比0.202 95%信頼区間:0.107~0.3080、P<0.0001)1,2 。また非盲検サブスタディでは、直近のリツキシマブを含む治療に抵抗性を示した原発性マクログロブリン血症患者さんを対象にイムブルビカ®を単独投与し、有効性と安全性を評価しました。観察期間の中央値(範囲)は、34.4カ月(8.6+~37.7カ月, +:打切り例)でした。主要評価項目は無増悪生存期間で、主要解析時点(2017年10月17日)で中央値に達しませんでした2。観察されたイムブルビカ®+リツキシマブ併用群の安全性プロファイルは、各薬剤における既知の安全性プロファイルと一貫していました。

PCYC-1118E試験は、治療歴のある再発又は難治性の原発性マクログロブリン血症の成人患者さん63例を対象とした、第II相、多施設共同、非盲検、単群試験で、イムブルビカ®単剤の有効性及び安全性を評価しました。観察期間の中央値(範囲)は、14.8カ月(3.5~21.1カ月)でした。主要評価項目は、Minor Response(血清M蛋白が25%以上の減少)、Partial Response(同50%以上の減少)、Very Good Partial Response(同90%以上の減少)及びComplete Responseを含む全奏効率です。試験の結果、全奏効率は87.3%(95%信頼区間:76.5~94.4)と、主要評価項目を達成しました。治療の忍容性は良好でした2。 なおこれらの試験において、長期の有効性及び安全性についても確認されています。追跡調査の中央値は、約4~5年です3,4

WAL2002試験は、未治療及び再発又は難治性の原発性マクログロブリン血症の日本人患者さん(20歳以上)を対象とした、第II相、多施設共同、非盲検、単群試験で、リツキシマブと併用した際のイムブルビカ®の有効性及び安全性を評価しました。観察期間の中央値(範囲)は、18.3カ月(5.5~22.3カ月)でした。主要評価項目である全奏効率(CR+VGPR+PR)は87.5%(95%信頼区間:61.7~98.4)で、臨床上の有効性が示されました。なお本試験においても良好な安全性プロファイルが示され、海外で実施されたPCYC-1127(iNNOVATE)試験で確認されたものと大きな差は認められませんでした1,2

 

原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫について

原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫は、進行が遅く、治癒困難で患者数の少ないB細胞リンパ腫です5。日本における年間の新規患者数は約500~700人で6,7、診断時の年齢中央値は約70歳8です。白血球(リンパ球)の1種であるB細胞が成熟する過程で悪性化し、悪性のB細胞が増殖し続けることで発症します。特に原発性マクログロブリン血症は、免疫グロブリンM(IgM)という抗体を大量に産生します。IgMなどの抗体は、通常は感染症の予防に寄与しますが、過剰に産生されることで血液の粘度が高くなり、過度な出血、視力障害、末梢神経障害などさまざまな症状を引き起こします9

 

イムブルビカ®(一般名 イブルチニブ)について11

イムブルビカ®は、ヤンセン・バイオテック社とアッヴィ社の傘下にあるファーマサイクリックス社が共同開発・販売する、1日1回経口剤です。イムブルビカ®は、特定のがん細胞を含む正常及び異常なB細胞が増殖および拡散するために必要とするブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)というタンパク質の働きを阻害します。BTKを阻害することにより、イムブルビカ®は異常なB細胞を生存環境から切り離し、その増殖を抑制します10,11,12

イムブルビカ®は、世界100カ国以上で承認されており、27万人以上の患者さんに使用されています。18の第III相臨床試験を含む、50以上の企業主導の臨床試験が行われており、11年以上にわたりイムブルビカ®の有効性と安全性を評価しています。

日本国内においてイムブルビカ®は、2016年3月に「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病 (小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応で製造販売承認を取得し、同年12月に「再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫」、2018年7月に未治療を含む「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の適応に対する承認を取得しています。また2021年9月には、成人及び12歳以上の小児を対象とし、「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」の適応で承認を取得しています。
本剤は日本国内では、ヤンセンが製造販売しています。

 

ヤンセンについて

ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちは循環器疾患、代謝・網膜疾患、免疫疾患、感染症・ワクチン、精神・神経疾患、がん、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。

ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。

ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。

 

【本件に関するお問合せ先】

ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

E-mail: [email protected]

 

参考文献

  1. イムブルビカ® 添付文書
  2. 社内資料:未治療及び再発又は難治性のマクログロブリン血症患者さんを対象とした海外III試験(PCYC-1127-CA試験、未治療及び再発又は難治性のマクログロブリン血症患者さんを対象とした国内第II相試験(54179060WAL2002試験、再発又は難治性のマクログロブリン血症患者さんを対象とした海外第II相試験(PCYC-1118E試験(2022年12月23日承認、CTD2.7.3)(承認時評価資料)
  3. https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.21.00838 Accessed December 2022.
  4. https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.20.00555 Accessed December 2022.
  5. American Cancer Society. “What are the key statistics about Waldenstrom macroglobulinemia?” Available at: http://www.cancer.org/cancer/waldenstrommacroglobulinemia/detailedguide/.... Accessed December 2022.
  6. 棟方 理 他:日本臨牀. 78(増刊号3),523-528,2020.
  7. 関口 直宏:臨床血液.60(8),988-997,2019.
  8. Int J Cancer. 2014 Jan 1;134(1):174-80.
  9. American Cancer Society. “What is Waldenstrom macroglobulinemia?” Available at: http://www.cancer.org/cancer/waldenstrommacroglobulinemia/index. Accessed December 2022.
  10. Genetics Home Reference. Isolated growth hormone deficiency. http://ghr.nlm.nih.gov/condition/isolated-growth-hormone-deficiency.
  11. Turetsky A, et al. Single cell imaging of Bruton's tyrosine kinase using an irreversible inhibitor. Scientific Reports. 2014;6:4782.
  12. de Rooij MF, et al. The clinically active BTK inhibitor PCI-32765 targets B-cell receptor- and chemokine-controlled adhesion and migration in chronic lymphocytic leukemia. Blood. 2012;119(11):2590-2594.