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炎症性腸疾患を対象としたトレムフィア®(グセルクマブ)の 最初の第Ⅲ相試験で、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎において 良好な寛解導入効果を示す

2023/05/15

 

※本プレスリリースは、2023年5月6~9日に開催された米国消化器病週間(DDW)において、5月9日にヤンセン米国本社にて発表したプレスリリースの抄訳版です。必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先します。本資料(英文)については、こちらをご参照ください。

 

第Ⅲ相QUASAR寛解導入試験の最新データから、生物学的製剤による治療歴がない
またはAdvanced therapyで効果不十分な潰瘍性大腸炎患者さんにおいて
統計学的に有意かつ臨床的に意義ある改善効果が示される

 

ペンシルベニア州スプリングハウス(米国時間2023年5月9日) - 米国ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンファーマ(以下、ヤンセン)は9日、既存治療aおよび/またはAdvanced therapy1,bに対し効果不十分もしくは忍容性が不良であった中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎cの成人患者さんを対象とした、トレムフィア®(一般名:グセルクマブ〔遺伝子組換え〕)の第Ⅲ相QUASAR寛解導入試験から得られた新たな有効性及び安全性に関する結果を発表しました。試験の結果、臨床症状および組織学的所見・内視鏡所見に関する評価項目全体において、統計学的に有意かつ臨床的に意義ある改善が認められました1。安全性プロファイルは、すでに承認された適応症におけるトレムフィア®の既知の安全性プロファイルと一貫していました1。これらのデータは、2023年5月6日~9日にイリノイ州シカゴで開催される米国消化器病週間(Digestive Disease Week®:DDW)年次総会でヤンセンが発表する17の口頭発表およびポスター発表のうちの1つで、Late Breaking 口頭発表として受理されました。

 

同試験の責任著者で、Brigham and Women’s HospitalのCrohn’s and Colitis Center(米国、マサチューセッツ州、ボストン)のメディカルディレクターでもあるJessica R. Allegretti, M.D., M.P.H.dは、次のように述べています。「潰瘍性大腸炎の患者さん、特に他の治療薬で効果不十分な患者さんは、体力を消耗させるような症状が続き、不安を抱えながら生活しています。今回の第Ⅲ相試験のデータは、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎に対する新たな治療法を確立する上で重要な一歩となります。私たち研究者らは潰瘍性大腸炎のあらゆるステージにある患者さんに症状改善をもたらす可能性のある治療選択肢を引き続き検討しています」

 

第Ⅲ相QUASAR寛解導入試験の結果(#913b)1

登録された701例eは、トレムフィア®200mg静脈内投与(IV)群またはプラセボ群に3対2の割合で無作為に割り付けられました。0週目、4週目、8週目に投与を行い、12週まで観察しました。主な結果は、以下の通りです。

  • 主要評価項目である投与12週時における臨床的寛解gを達成した患者さんの割合は、トレムフィア®群の方がプラセボ群と比較して有意に高かった(それぞれ22.6%、7.9%、p<0.001, ∆f=14.9%)1
  • 投与4週時において寛解hを達成した患者さんの割合は、トレムフィア®群22.6%に対し、プラセボ群では12.9%であった(p<0.001, ∆=9.9%)。投与12週時において寛解を達成した患者さんの割合は、トレムフィア®群が49.9%に対し、プラセボ群では20.7%であった(p<0.001, ∆=29.4%)1
  • プラセボ群と比較して、トレムフィア®群では投与12週時において以下を達成した患者さんの割合が高かった。
    • 臨床的改善i(トレムフィア®群61.5%、プラセボ群27.9%[p<0.001, ∆=33.8%])1
    • 内視鏡的改善j(トレムフィア®群26.8%、プラセボ群11.1%[p<0.001, ∆=16.0%])1
    • 組織学的・内視鏡的粘膜改善k(トレムフィア®群23.5%、プラセボ群7.5%[p<0.001, ∆=16.2%])1
    • 内視鏡的寛解(粘膜治癒)l(トレムフィア®群15.0%、プラセボ群5.0%[名目p<0.001, ∆=10.1%])1
  • 有害事象の発現率は、トレムフィア®群、プラセボ群と同程度であった1
  • 重篤な有害事象の発現率(トレムフィア®群2.9%、プラセボ群7.1%)および投与中止に至った有害事象の発現率(トレムフィア®群1.7%、プラセボ群3.9%)は、プラセボ群と比較してトレムフィア®群で数値的に低かった1
  • 全体的に、投与12週までの安全性プロファイルは、すでに承認された適応症におけるトレムフィア®の既知の安全性プロファイルと一貫していた1

Janssen Global Services, LLC.のGlobal Medical Affairs Gastroenterologyの責任者であるKavitha Goyal, M.D.は、次のように述べています。
「QUASAR試験の結果からは、生涯にわたりこの慢性疾患を有する患者さんに対しトレムフィア®の有用性を示す知見が得られ、またすでに承認された適応症におけるトレムフィア®の既知の安全性プロファイルを裏付けるものとなりました。ヤンセンは、潰瘍性大腸炎をはじめとする複雑な免疫介在性炎症疾患の治療におけるトレムフィア®を用いたIL-23経路の研究開発を継続してまいります。それにより、医療従事者の皆さんが患者さんのニーズに適したさまざまな治療選択肢をもとに、寛解という目標に近づくことできればと願っています」

現在、炎症性腸疾患に対する治療薬としてトレムフィア®の研究開発が進められおり、クローン病に関する第Ⅲ相試験(NCT03466411および NCT05197049)および潰瘍性大腸炎に関する第Ⅲ相試験(NCT04033445NCT05528510)があります2,3,4,5

トレムフィア®は、米国において、潰瘍性大腸炎の成人患者さんの治療薬として承認されておりません。また日本国内においても、潰瘍性大腸炎に対しては未承認です。

 

用語の説明:

  • a. チオプリン製剤またはステロイド薬を指す1
  • b. TNFα阻害薬、ベドリズマブまたはトファシチニブを指す1
  • c. ベースラインのmodified Mayoスコアが5~9のものと定義する。これには、直腸出血サブスコアが1以上、内視鏡動画の中央評価で内視鏡サブスコアが2以上と評価されたものも含まれる1
  • d. Dr. Allegrettiはヤンセンのコンサルタントを務めていますが、メディアに対する活動についての報酬は受け取っていない。
  • e. 平均年齢40.5歳、女性の割合43.1%、潰瘍性大腸炎の平均罹病期間7.5年、平均modified Mayoスコア6.9、重症の定義であるMayo内視鏡サブスコア3の患者の割合67.9%、便中カルプロテクチンの中央値1641.0 mg/kg、C-反応性蛋白の中央値4.2mg/L、ベースラインの経口ステロイド薬使用率43.1%。ベースラインの患者背景および疾患特性に2投与群間で大きな差異は認められなかった。患者の半数が生物学的製剤を初めて使用する患者であったが、患者の約50%が試験開始前に潰瘍性大腸炎に対するAdvanced therapyに対し効果不十分で、そしてこのうちのほぼ半数(47.4%)が2種類以上の治療薬もしくはAdvanced therapyに対し効果不十分であり、潰瘍性大腸炎が難治性の疾患であることが示唆される1
  • f. Cochran-Mantel-Haenszel型の重みを用いたWald統計量に基づいて調整した投与群間差1
  • g. 臨床的寛解:Mayo排便回数サブスコアが0または1でベースラインから増加していない、Mayo直腸出血サブスコアが0、Mayo内視鏡サブスコアが0または1で、内視鏡で易出血性が認められない1
  • h. 寛解:排便回数サブスコアが0または1でベースラインから増加しておらず、直腸出血サブスコアが01
  • i. 臨床的改善:改変Mayoスコアのベースラインからの低下量が30%以上かつ2点以上で、直腸出血サブスコアのベースラインからの低下量が1点以上または直腸出血サブスコアが0または11
  • j. 内視鏡的改善:内視鏡サブスコアが0または1で、内視鏡で易出血性が認められない1
  • k. 組織学的・内視鏡的粘膜改善:組織学的改善(陰窩の好中球浸潤が5%未満、陰窩損傷なし、Geboesグレード分類に基づくびらん・潰瘍・肉芽組織なし、すなわちGeboesスコアが3.1以下)と内視鏡的改善(内視鏡サブスコアが0または1で、内視鏡で易出血性が認められない)の両方の達成1
  • l. 内視鏡的粘膜治癒:内視鏡サブスコアが01

 

米国消化器病週間(Digestive Disease Week®:DDW)について

米国消化器病週間(Digestive Disease Week®:DDW)は、消化器病学、肝臓病学、内視鏡学、胃腸手術分野の医師、研究者、学識経験者が一堂に会する世界最大規模の国際会議です。米国肝臓学会議(AASLD)、米国消化器病学会(AGA)、米国消化器内視鏡学会(ASGE)、および米国消化管外科学会(SSAT)が共催するDDWは、2023年5月6日~9日に対面およびオンラインで開催されます。本会議では、消化器系疾患における研究・医学・技術の最新の進歩に関する3,100以上の抄録および数百の演題が発表されます。詳細はwww.ddw.orgで閲覧できます。

 

QUASAR試験(NCT04033445)について

QUASAR試験は、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の治療におけるグセルクマブの有効性および安全性に関する科学的な疑問を解明することを目的としています。本試験を通してトレムフィア®の長期投与について評価するとともに、特定の時点における有効性、安全性、薬物動態、免疫原性、バイオマーカーも評価しています3。QUASAR第Ⅲ相寛解導入試験は、既存治療(チオプリン製剤またはステロイド薬)および/またはAdvanced therapy(TNFα阻害薬、ベドリズマブ、またはトファシチニブ)に対し効果不十分もしくは忍容性が不良であった中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の患者さんを対象として、トレムフィア®(インターロイキン-23の p19サブユニット拮抗薬)の寛解導入薬としての有効性および安全性を評価することを目的とした無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間、多施設共同試験です1

 

炎症性腸疾患について

炎症性腸疾患は、消化管の慢性炎症を引き起こすクローン病と潰瘍性大腸炎という2つの病態の総称6で、炎症が長引くことで消化管の損傷を引き起こします6。炎症性腸疾患の正確な原因は不明ですが、環境的要因に対する免疫反応や遺伝的要因が考えられます6。症状はさまざまで、持続的な下痢、腹痛、直腸出血、血便、体重減少、疲労などが挙げられます6

 

潰瘍性大腸炎について

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜が炎症を起こし、膿や粘液を産生するただれや潰瘍を形成する慢性疾患で7、過剰な免疫反応により発症します7。症状はさまざまで、軟便、切迫便意、持続的な下痢、腹痛、血便、食欲不振、体重減少、疲労などが挙げられます8

 

トレムフィア®(グセルクマブ)について ※以下の適応症は、米国や欧州等のものも含まれます。

ヤンセンが開発したトレムフィア®は、インターロイキン(IL)-23のp19サブユニットに選択的に結合してIL-23受容体との相互作用を阻害するヒト型モノクローナル抗体です9。IL-23は、中等症から重症の尋常性乾癬や活動性関節症乾癬などの炎症性疾患の発症に関与する重要な因子の1つです9。トレムフィア®は、注射や錠剤(全身療法)または光線療法(紫外線を用いた治療)が有効な可能性のある中等症から重症の尋常性乾癬の成人患者さん、および活動性関節症乾癬の成人患者さんの治療薬として、米国、カナダ、日本をはじめとする多くの国で承認されています9。また欧州でも、全身療法が適応となる中等症から重症の尋常性乾癬の成人患者さん、および疾患修飾性抗リウマチ薬による治療で効果不十分、または忍容性が不良の活動性関節症乾癬の成人患者さんの治療薬として承認されています9

ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンは、トレムフィア®の全世界での独占販売権を有しています。

 

ヤンセンについて

ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちは循環器疾患、代謝・網膜疾患、免疫疾患、感染症・ワクチン、精神・神経疾患、がん、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。

ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。

ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。

 

【本件に関するお問合せ先】

ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

E-mail: [email protected]

 

参考文献

  1. Allegretti, J, et al. The Efficacy and Safety of Guselkumab Induction Therapy in Patients with Moderately to Severely Active Ulcerative Colitis: Results from the Phase 3 QUASAR Induction Study. Presented at Digestive Disease Week, May 6-9.
  2. National Institutes of Health: Clinicaltrials.gov. A Study of the Efficacy and Safety of Guselkumab in Participants with Moderately to Severely Active Crohn's Disease (GALAXI). Identifier: NCT03466411. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03466411. Accessed March 2023.
  3. National Institutes of Health: Clinicaltrials.gov. A Study of Guselkumab Subcutaneous Therapy in Participants with Moderately to Severely Active Crohn's Disease (GRAVITI). Identifier: NCT05197049. Available at https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05197049. Accessed March 2023.
  4. National Institutes of Health: Clinicaltrials.gov. A Study of Guselkumab in Participants with Moderately to Severely Active Ulcerative Colitis (QUASAR). Identifier: NCT04033445. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04033445. Accessed March 2023.
  5. National Institutes of Health: Clinicaltrials.gov. A Study of Guselkumab Therapy in Participants with Moderately to Severely Active Ulcerative Colitis (ASTRO). Identifier: NCT05528510. Available at https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05528510. Accessed March 2023.
  6. Centers for Disease Control and Prevention. What is Inflammatory Bowel Disease (IBD)? Available at: https://www.cdc.gov/ibd/what-is-ibd.htm. Accessed March 2023.
  7. Crohn’s & Colitis Foundation of America. The Facts About Inflammatory Bowel Diseases. Available at https://www.crohnscolitisfoundation.org/sites/default/files/2019-02/Upda.... Accessed March 2023.
  8. Crohn’s & Colitis Foundation. What is Ulcerative Colitis? Available at: https://www.crohnscolitisfoundation.org/what-is-ulcerative-colitis. Accessed March 2023.
  9. TREMFYA® Prescribing Information. Available at: https://www.janssenlabels.com/package-insert/product-monograph/prescribi.... Accessed March 2023.