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東京大学とヤンセンファーマ、「分子脳病態科学」寄付講座を開設 ~高齢化社会構造への対応に向け認知症性疾患に関する診断・治療・予防の発展を企図~

公開日: 
2008/07/01

東京大学大学院医学系研究科・医学部および同附属病院(*1)は、本年7月、ヤンセンファーマ株式会社(*2、以下ヤンセンファーマ)からの寄附により、認知症性疾患の教育研究を目的とした寄付講座「分子脳病態科学」を開設します。設置期間は3年を予定しております。本寄付講座は神経学の分野において、基礎研究から臨床研究までを統合した研究を行うとともに、その研究成果を社会へ還元する活動を学内外の講座、施設と連携する点を特徴としています。

 

【背景】
認知症性疾患は経済的にも人的にも資源の損失が大きいとされ、その診断/治療、ならびに予防の発展は、わが国をはじめとする先進諸国が直面しつつある高齢化社会構造に対応するためにも喫緊の課題であると考えられます。しかしながら、その発症メカニズムおよび治療法には未だ解明が待たれる部分が多いことも事実です。患者さんやご家族にとって最良の診療を実践するためにも、認知機能障害を伴う神経疾患をターゲットとした研究を軸とした、世界的かつ大規模な研究協力体制の構築と、世界をリードしうる神経内科専門医の育成は急務であると考えられます。

 

【研究/教育活動の概要】
「分子脳病態科学」寄付講座では、これまでに解明された病態機序に立脚した診断/治療法の開発に加え、病因や病態機序のさらなる解明、臨床的な課題に対する大規模な多施設共同研究の推進、などを研究課題における重要な柱としています。協力講座である神経内科と連携し、認知症性疾患の診療能力向上を目指したプログラムの提供のほか、診断スキルの向上についても協力を行います。

 

【今後の展望、期待される成果】
本寄付講座の開設によって、アルツハイマー病、非アルツハイマー型認知症、その他の神経変性疾患、自閉症などの疾患病態についての新規知見が得られることが期待されています。また、認知症性疾患の適切な早期診断法、進行程度の把握のための新規技術の開発、自閉症の発症機序についての新規知見、認知症性神経変性疾患における神経機能不全の病態解明に基づく新規根治療法への基礎的研究成果が得られることも期待されています。こうした研究活動の成果は、広く公共の福祉、社会の発展に還元されるべきものと考えております。本寄付講座の開設が若く有望な研究者の独創性を育むとともに、その成果を神経内科学講座における診療に反映させることで、高度先進医療としての実現を目指すべく努力して参る所存です。

 

【寄付講座概要】
1.設置先:     東京大学大学院医学系研究科・医学部
2.講座名:     「分子脳病態科学」
3.寄附者:     ヤンセンファーマ株式会社
4.寄附金総額:  9,000万円
5.開設期間:    3年間(平成20年7月1日~平成23年6月30日)
6.研究課題:    1) ゲノム解析、プロテオミクス解析に基づく認知機能障害機構の解明
2) 新規認知症治療薬開発を目指した創薬研究

 

注釈
*1:東京大学大学院医学系研究科・医学部(研究科長・学部長 清水孝雄)
http://www.m.u-tokyo.ac.jp/
東京大学医学部附属病院(病院長 武谷 雄二)
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
http://www.h.u-tokyo.ac.jp/

*2:ヤンセンファーマ株式会社 代表取締役社長 関口 康 
〒101-0065 東京都千代田区西神田3-5-2
http://www.janssen.co.jp
同社では中枢神経系領域の治療薬の開発を積極的に進めており、現在、認知症治療薬として、コリンエステラーゼ阻害薬ガランタミンが軽度から中等度のアルツハイマー型認知症を予定効能として、国内臨床試験中。