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VISTA試験、未治療の多発性骨髄腫患者へのベルケイド®(ボルテゾミブ)投与に全生存期間の有意な延長効果があることを証明

2011/12/13

ボルテゾミブとメルファラン、プレドニゾンとの併用療法(VMP)の効果は、全ての患者層において、後治療内容に関係なく見られました

 

ご参考資料:
当資料は、ヤンセン・シラグ・インターナショナルNVが2011年12月12日(現地時間)に発表した英文プレスリリース抜粋を翻訳版として、報道関係者の皆様にご提供させていただくものです。従いまして、日本の状況を必ずしも反映したものではなく正式言語が英語であるため内容については英文リリースが優先されます。

 

ベルギー・ベーアセ [現地時間12月12日]
ヤンセン・シラグ・インターナショナルNVは、本日、致死的な血液がんである多発性骨髄腫(MM)の未治療患者を対象としたベルケイド®(ボルテゾミブ)をメルファランおよびプレドニゾンと併用した療法(VMP)は、メルファラン+プレドニゾン(MP)療法に比べ、全生存期間(OS)が13.3ヶ月長い(HR 0.695、p=0.0004)という有意な延長効果を示したことを発表しました。1このデータは、5年間にわたり追跡調査を行ったVISTA試験の最新のOS解析結果によるもので、米国サンディエゴで開催される第53回米国血液学会(ASH)年次総会で発表されることになっています。

 

この結果は、言い換えると、ベルケイド®の投与を受けた患者のOSが43.9%改善されたということです。この長期OS延長効果は、75歳以上の高齢者(中間値50.7ヶ月vs.32.9ヶ月、HR 0.71)を含むすべての患者層において、後治療内容に関係なく見られました。1また、この試験では、長期療法を受けるMM患者にとって重要な問題である二次発がんのリスクについても、VMP療法を行った場合は、そうではない場合の予想発生率に比べてリスクは上昇しないことが確認されました。1

 

「これは重要かつ臨床的に有意義な試験で、いかに患者さんを治療していくかを示唆するものです。試験結果は、ベルケイドを使った治療が、未治療の多発性骨髄腫患者さんに長生きしていただくのに役立つことを立証するもので、非常に興奮しています。」とサラマンカ大学病院の血液科部長であるVISTA試験の首席治験責任医師であるジーザス・F・サンミゲル(Jesús F. San Miguel)教授は述べています。

 

この5年間にわたる長期追跡調査の解析により、MP療法に無作為割付された患者の全生存期間が3.6年(43.1ヶ月)[HR 0.695, p=0.0004]だったのに対し、VMP療法に無作為割付された患者の全生存期間が約5年(56.4ヶ月)で、全生存期間の中央値が13.3ヶ月長くなったこと、VMP療法により死亡リスクが31%軽減されたことが報告されています。1 VMP療法により達成されたOS中央値56.4ヶ月は、これまで大量化学療法および自己造血幹細胞移植によってのみ達成できたOS中央値(50~55ヶ月)に匹敵するものです。2,3,4次の治療までの期間(中央値27.0ヶ月vs. 19.2ヶ月、HR 0.557、p<0.0001)および無治療期間(TFI)(中央値16.6ヶ月vs. 8.3ヶ月、HR 0.573、p<0.0001)についても、VMP療法の方がMP療法に優っていました。1

 

「これは、がんに苦しむ患者さんにとって、朗報です。これで、患者さんの長く生きたいという希望の実現に近づくことができます。」とミエロマ ペイシエンツ ヨーロッパ(Myeloma Patients Europe)のアニタ・ウォルドマン(Anita Waldmann)会長は述べています。

 

「ベルケイド®は、あらゆる患者集団を対象に多発性骨髄腫を効果的に治療するための最上位の療法として、急速に地位を確立してきています。多発性骨髄腫に苦しむ患者さんの生活の質を高めて長生きしていただくことにつながるこの研究結果をお知らせできるのをうれしく思います。」とヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント、がん領域のグローバル研究開発部門長ウィリアム・N・ハイト(William N. Hait)(医師・医学博士)は述べています。

 

 

ヤンセンについて
我々ヤンセンは、現代においてもっとも重要な「いまだ満たされない医療ニーズ」への対応と解決に力を注いでいます。これには、がん、免疫疾患、中枢神経疾患、疼痛、感染症、代謝疾患が含まれます。患者さんへの貢献という強い意思に基づき、革新的な製品、サービスを開発提供し、健康問題の解決に努め、世界中のひとびとを支援しています。ヤンセンファーマ株式会社は、ヤンセンファーマシューティカル・グループのひとつです。
 

  

 

補足資料

VISTA試験について
VISTA試験とは、未治療の多発性骨髄腫患者の長期OSについて報告する最大規模の第III相登録試験です。この682人の患者を対象とした多施設国際共同治験では、造血幹細胞移植非適応の未治療MM患者にVMP療法とMP療法を行い比較しました。MPとベルケイド®との併用の安全性プロファイルは、すでに知られているベルケイド®の安全性プロファイルおよびMPの安全性プロファイルと一致していました。この試験は、ミレニアム社とその共同開発パートナーであるジョンソン・エンド・ジョンソン・ファーマシューティカル・リサーチ・アンド・ディベロップメント(J&JPRD)社が行ったものです。

 

ベルケイド®(ボルテゾミブ)について
ベルケイド®(ボルテゾミブ)は、多発性骨髄腫と呼ばれる血液のがんに使用される薬です。有効成分ボルテゾミブを含有しており、プロテアソーム阻害剤と呼ばれる新規薬剤の第1号です。プロテアソームは、すべての細胞に存在し、細胞機能、細胞増殖、細胞間相互作用の制御に重要な役割を果たしています。ボルテゾミブは、細胞のプロテアソームの通常の働きを可逆的に阻害し、骨髄腫のがん細胞の成長を止め、死に至らせます。

ベルケイド®は、欧州連合において、大量化学療法や骨髄移植ができない未治療(すなわちフロントライン)の多発性骨髄腫患者に対するメルファランおよびプレドニゾンとの併用投与、過去に一回以上治療を受けたことがあって、骨髄移植を受けた、または骨髄移植に適さない進行性の多発性骨髄腫患者の治療での単剤投与の承認を受けています。
*日本では、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」および「未治療の多発性骨髄腫」治療における承認を取得しています。

ベルケイド®は、世界で30万人以上の多発性骨髄腫再発患者を治療してきたマーケットリーダーです。ベルケイド®は、ミレニアム・ファーマシューティカルズ社(Millennium Pharmaceuticals)とヤンセンファーマシューティカル・グループ(以下「ヤンセン」)によって共同開発されました。ミレニアム社は米国におけるベルケイド®の販売を担当し、ヤンセンは欧州およびその他の国々での販売を担当しています。武田薬品工業とヤンセンファーマ株式会社は、日本国内におけるベルケイド®のコ・プロモーション契約を結んでいます。

 

「ベルケイド®」(ボルテゾミブ)の安全性に関する情報:
国内臨床試験において、主な副作用として、リンパ球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血、食欲不振、下痢、発疹、便秘、悪心、LDH増加、CRP増加、発熱、体重減少、末梢性ニューロパシー、低ナトリウム血症、Al-P増加、倦怠感、嘔吐、肝機能異常、高血糖、高カリウム血症が報告されています。

 

多発性骨髄腫とは:
多発性骨髄腫(MM)は血液の悪性腫瘍の一つで、腫瘍化した形質細胞(骨髄腫細胞)が異常な免疫グロブリンを産生するため、様々な症状を引き起こす疾患です。この疾患は高齢者に多く発症します。MMを発症すると、免疫力が低下して感染症を誘発したり、腎障害をきたしたり、腫瘍細胞が産生する破骨細胞活性化因子のために骨の破壊を伴い、骨折や高カルシウム血症をきたすといった症状が現れます。日本での患者数は約13,000人にのぼります(厚生労働省 平成20年度 調査)。

 

編集者への注記:
• 多発性骨髄腫(MM)は、二番目に多い血液のがんで、がん全体の約1パーセント、全がん死亡の約2パーセントを占めています。7
• 2002年には、世界におけるMMの症例数は約85,700症例でした。8
• MM患者のうち、5年以上生存するのは30パーセントにすぎず、欧州連合内では毎年18,000人以上がこの病気により死亡しています。8,9
• p値(有意確率)とは統計用語で、治験中に患者群間に生じた差異が偶然により発生した確率を算出したものです。たとえば、p値が0.01(p=0.01)ということは、生じた結果が偶然によるものだった確率が100分の1だという意味です。p値が低ければ低いほど、患者群間の差異は治療により生じたものである可能性が高くなります。10
• 全生存率とは、臨床試験の参加者または治療を受けた集団のうち、がんなどの疾病の診断または治療から一定期間経過後に生存している人の割合(%)のことです。全生存率の中間値が、平均全生存率になります。10

 

 

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References

1.) Continued Overall Survival Benefit After 5 Years’ Follow-Up with Bortezomib-Melphalan-Prednisone (VMP) Versus Melphalan-Prednisone (MP) in Patients with Previously Untreated Multiple Myeloma, and No Increased Risk of Second Primary Malignancies: Final Results of the Phase 3 VISTA Trial. Presented at the 52nd American Society for Hematology (ASH) Annual Meeting, 12.12.11.
2.) Bladé, J.et al. Transplantation for multiple myeloma: who, when, how often? Blood 2003;102(10):3469-3470.
3.) Child, A.J. et al. High-Dose Chemotherapy with Hematopoietic Stem-Cell Rescue for Multiple Myeloma. N Engl J Med 2003;348:1875-83.
4.) Harousseau, J.L. et al. Autologous Hematopoietic Stem-Cell Transplantation for Multiple Myeloma. N Engl J Med 2009;360:2645-54.
5.) www.ema.europa.eu [last accessed November 2011].
6.) Chiechanover A, Schwartz AL. The ubiquitin system: pathogenesis of human diseases and drug targeting. Biochim Biophys Acta 2004;1695(1–3):3–17.
7.) http://www.themmrf.org [last accessed November 2011].
8.) GLOBOCAN 2002, http://globocan.iarc.fr [last accessed November 2011].
9.) Brenner H. Lancet 2002; 360:1131-1135.
10.) National Cancer Institute. NCI Dictionary of Cancer Terms: P-value. www.cancer.gov/dictionary. [last accessed November 2011].