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統合失調症に関する意識調査

公開日: 
2012/06/14

- 呼称変更から10年、いまだ旧呼称の記憶が根強い -
一方で、発症した際は「隠す」から「積極的に治療する」という意識の変化も

 

【呼称の認知度について】
統合失調症という名前の認知度は55.6%。一方、精神分裂病という呼称の認知度は64.6%と統合失調症より高く、年代を追うごとに上昇し60歳以上では88.0%に。
【呼称のイメージについて】
精神分裂病という呼称に比べ、統合失調症という呼称のほうが「自分や身近な人がなった場合でも抵抗なく使える」と93.0%の人が回答。
【統合失調症になったら】
「自分が診断されたらすぐに治療をしたい」と答えた人が45.4%、「家族が診断されたら治療をすすめる」と答えた人が83.6%で、恥ずかしい、受け入れられない、隠す、という意見はごく少数に。
【統合失調症の原因について】
「人間関係のつまずき」が原因と考える人が最も多く57.6%で、「脳・神経の障害」と正しく理解している人は43.6%と半数以下に。
【患者さんに対する意識】
あなたの知人や近所に統合失調症の人がいたら、「他の人と同じような近所付き合いをする」と答えた人は46.0%、「困っているときは、できるだけ手を貸すようにつとめる」と答えた人は30.0%、「統合失調症で入院した人でも信頼できる友人になれる」と答えた人は41.2%。一方で、「結婚などで統合失調症の患者が家族の一員になることを受け入れられる」という質問に「そう思う」と答えた人は19.8%に。

 

 ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、社長:トゥーン・オーヴェルステンズ 以下、「ヤンセンファーマ」)は、2012年5月、独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター名誉総長・財団法人 精神・神経科学振興財団 理事長 高橋清久先生と共同で、全国の20~69歳の男女500名を対象に、統合失調症に関する意識調査を実施しました。(調査期間:2012年5月11日~14日)

 

 統合失調症はかつて「精神分裂病」と呼ばれていましたが、その呼称からくるイメージによって患者さんへの差別や誤解を生みだしているという経緯から、日本精神神経学会を中心に検討が重ねられ、2002年に「統合失調症」という呼称に変更となりました。近年、より有効な新薬が次々と発売され、正しい薬剤の服用によって社会・就労復帰を遂げる患者さんが多数いらっしゃいます。一方で、統合失調症に対する誤った認識や理解はいまだに根強く残っていると言われ、差別や偏見に苦しむ患者さんも少なくないという声も聞かれています。
そこで、呼称変更から10年が経った今、一般の方の統合失調症に関するイメージや症状の理解と認識に関して調査を行いました。

 

今回の意識調査の結果を踏まえ、高橋清久先生は次のように述べています。
「旧呼称がいまだ根強く人々の記憶に残っている一方、新しい呼称は当事者や家族に対して抵抗なく使えるという点で高く評価できます。これは、病名の告知が進み、当事者や家族の病気への認識が高まることで、治療に積極的に参加するようになるという効果があると考えられ、とても重要な点です。実際、別の調査では呼称変更前は告知する医師は37%以下にとどまっていましたが、変更後は69.7%の医師が告知しているという数字も出ています1。また、身内や家族が統合失調症と診断されたら『治療を優先する』という意見が高く、かつての身内の精神疾患を隠すという考え方が薄れ、病気であるから治療するという本来のあるべき姿に近づきつつあると言えるでしょう。」
また一方で、
「多くの人は、統合失調症という呼称を新聞・雑誌・インターネット・テレビなどメディアを通じて知ったと答えていますが、統合失調症の正しい原因の認知度は低く、誤った認識が起因する偏見や差別がなくなったとは言えません。統合失調症をはじめとした精神疾患に関する正しい情報をメディアの方々に積極的に発信していただくことで、多くの人に正しい知識が普及していくと考えています。」
とも述べています。

 
また、公益社団法人 全国精神保健福祉会連合会の理事長 川崎洋子さんは今回の調査結果について次のように述べています。
「精神分裂病が統合失調症と呼称が変わり、家族、当事者への病名告知が進み、病気を正しく理解し、治療を受け入れ、回復に向けて努力している家族、当事者が増えてきていることは評価できることです。しかし、今回の調査から見えてきたことは、当事者に接する機会がなく、依然として病気のことが分からない人が多くいることです。このことはいまだに根強く残っている偏見があるからです。当事者は家に引きこもり、家族自身も隠すように地域で暮らしているのが現状です。私どもの団体は隠さない生き方を全国に発信していますが、なかなか進まないことを残念に思っています。
近年、副作用の少ない薬の開発もあり、地域で生活する精神障害者は増えています。また、一方うつ病による自殺者に関しては、社会問題とされています。身近なところに精神疾患を抱えた人がいるのです。精神障害者への理解が進み、偏見のない社会で、精神障害者が普通に生きていけることが、私たち家族・当事者の思いです。」

 

1 西村由貴(慶應義塾大学保健管理センター)  Schizophrenia Frontier(1345-8639)9巻2号 Page102-105(2008.07)

 

 

<調査概要>
【調査方法】インターネット調査
【調査対象】全国の20~69歳の男女500名
【調査期間】2012年5月11日~14日

 

 
ヤンセンについて

我々ヤンセンは、現代においてもっとも重要な「いまだ満たされない医療ニーズ」への対応と解決に力を注いでいます。これには、がん、免疫疾患、中枢神経疾患、疼痛、感染症、代謝疾患が含まれます。患者さんへの貢献という強い意思に基づき、革新的な製品、サービスを開発提供し、健康問題の解決に努め、世界中のひとびとを支援しています。ヤンセンファーマ株式会社は、ヤンセン ファーマシュ―ティカル・グループのひとつです。