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乾癬治療薬ステラーラ® (ウステキヌマブ)の新データが中等症~重症の尋常性乾癬における有効性・良好な忍容性とQOL改善を示す

公開日: 
2012/10/04

新たに得られた5年間のデータをEADV 2012で発表
www.brainshark.com/janssencns/PsoriasisInterviews

当資料は、ヤンセン社が2012年9月28日(現地時間)に発表した英文プレスリリース抜粋の翻訳版として、発表しています。従いまして、日本の状況を必ずしも反映したものではないことと、正式言語が英語であるため、内容については英文リリースが優先されます。

  

[2012年9月28日、ベルギー・ベルセ発]本日、チェコ・プラハで開催された第21回欧州皮膚科学・性病学会議(European Academy of Dermatology and Venereology, EADV)においてステラーラ®(一般名:ウステキヌマブ)に関する新たなデータが発表され、中等症~重症の尋常性乾癬の成人患者において同剤が有効で忍容性が高く、生活の質(QOL)の改善をもたらすことが示されました。今回発表された新たなデータは、乾癬に対する生物学的製剤としては最長のプロスペクティブな検討であり、ほぼ9,000人年という最も充実したデータによる検討の結果です。
人年:人×年で表した単位で、1人を10年間観察した場合、また10人を1年間観察した場合は10人年と表わされる。
 

有効性については2つの検討結果が報告されました。①メトトレキサートで十分な効果が得られない中等症~重症の尋常性乾癬の患者においてウステキヌマブは高い有効性と良好な忍容性を示し1、メトトレキサートからウステキヌマブに切り替えた患者では切り替え法の種類に関係なくQOLが大きく改善することが明らかにされました(52週間TRANSIT試験)2。②また、最長5年間にわたるウステキヌマブの投与例の追跡調査では、良好な臨床効果が一貫して得られていることが示されました(PHOENIX2試験)3
 

安全性については、4件のランダム化比較試験で得られた約9000人年の安全性データの統合解析を行ったところ、最長5年間の投与においても、有害事象全般及び特異な有害事象の発現について、ウステキヌマブ投与期間が延びることにより用量反応や蓄積毒性は認められませんでした4。またPSOLAR登録研究の年次評価で2011年8月に抽出した13,733 人年の登録データからウステキヌマブまたはインフリキシマブによる全身療法が適応となる患者において悪性腫瘍(非メラノーマ皮膚がんを除く)、感染症および重大な心血管イベント(MACE)の発現率が解析され、新たな安全性シグナルは認められませんでした6,7

 

ウステキヌマブは、インターロイキン12 (IL-12)とインターロイキン23 (IL-23)を標的とする新規作用機序をもつ薬剤です。IL-12とIL-23は体内にある蛋白質で、免疫反応の調節に重要な役割をもち、尋常性乾癬などの免疫介在性炎症性疾患に関係すると考えられています。

  

ドイツ・ミュンヘンのイェルク・プリンツ(Jörg Prinz)教授は、「今回の解析の所見はきわめて期待のもてるもので、ウステキヌマブの最長5年間に及ぶ治療のベネフィット・リスクプロファイルが良好であることを裏付けています。重要な点は、臨床試験で得られた結果が、実臨床における経験と一致することです。今回の知見は乾癬に対する生物学的製剤の有効性、安全性と忍容性のみならず健康関連QOLへの影響についての理解をさらに深める内容です」と述べています。
 

乾癬は目立つ皮膚症状を伴う慢性の免疫介在性炎症性疾患で、未だ根治療法がない疾患です。その為、身体的な苦痛やうつ病をはじめとする様々な精神的苦痛を伴うことがあります8。ヨーロッパでは乾癬患者に対する治療の水準を向上させる必要性が認識され、この課題に取り組むため、このほどEuropean Expert Working Group for Healthcare in Psoriasis (乾癬の治療に関する欧州専門家会議)が「欧州版治療体系9 (白書)」を発表しました。同白書は、乾癬治療の水準の向上を図るもので、特に乾癬の重症度に応じた治療とその治療へのアクセスに焦点が当てられています。 

 

 

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試験のデザインと結果について
TRANSIT試験
デザイン:52週間の非盲検第Ⅳ相臨床試験。489例の乾癬患者を対象に、メトトレキサートからウステキヌマブへの移行方法を2種類行い、比較しました。第1の方法はメトトレキサートの中止後直ちにウステキヌマブを開始する方法(メトトレキサート中止群)、第2の方法はメトトレキサートの投与中にウステキヌマブの投与を開始し、4週間以上かけてメトトレキサートを減量する方法(メトトレキサート漸減群)です。
本邦では乾癬の適応はありません。

結果:ウステキヌマブの忍容性は良好で、両群とも重篤な有害事象の発現率は8%でした。長期的効果は第52週時点でPASI75を達成した患者の割合はメトトレキサート中止後群では76%、メトトレキサート漸減群では77%でした。この結果により、ウステキヌマブの投与を開始する際にメトトレキサートを直ちに中止した場合も4週間以上かけて漸減した場合のいずれにおいても有害事象の発現件数と種類に差はなく、同等の有効性を発揮することが示されました1
PASI75:PASI=Psoriasis Area and Severity Index、乾癬の病変部面積と重症度より算出するスコアが投与開始時から75%以上改善すること
 

PHOENIX 2試験
デザイン:中等症~重症の尋常性乾癬の患者1,230例を無作為に、ウステキヌマブ45 mgまたは90 mgを第0週と第4週に投与し、その後12週ごとに投与する群と第0週と第4週にプラセボを投与する群に割り付けました。プラセボ群の患者には、ウステキヌマブ45 mgまたは90 mgの投与を第12週と第16週に行い、その後は12週間ごとに投与しました。治験担当医師は、第52週の臨床評価に基づき、ウステキヌマブの用量を調節してもよいこととしました。

結果:中等症~重症の尋常性乾癬の成人患者にウステキヌマブを最長で5年間継続投与したところ、安定した臨床効果が認められました3。試験終了時点でのPASI75達成率はウステキヌマブ45 mg投与群では76.5%、90 mg投与群では78.6%と、5年間の追跡期間中、患者全体で高い有効性が得られ、その効果が持続することが確認されました。用量調節を行った場合と行わなかった場合についてウステキヌマブの安全性プロファイルを検討したところ、投与期間の延長に伴い毒性が蓄積することを示すエビデンスは認められませんでした。

*PHOENIX 2の試験デザインには部分的な寛解例に対する投与スケジュールの見直しが含まれていますが、この投与スケジュールの変更は、欧州医薬品庁(EMA)より承認を得たステラーラ®の製品概要には記載されていません。

  

臨床試験の安全性データベースの解析
デザイン:最長5年間にわたりウステキヌマブの投与を受けた乾癬患者を対象とした臨床試験4件(第Ⅱ相試験1件、第Ⅲ相試験3件(PHOENIX 1試験、PHOENIX 2試験およびACCEPT試験)の安全性データを集計・解析しました。全般および特異な有害事象の発現率をウステキヌマブの投与量別(45 mgおよび90 mg)および追跡期間の年次別(第1~5年次)で解析し、投与量と投与期間との影響を評価しました。

結果:3,117例の8,998人年に及ぶデータを検討した結果、安全性事象の発現率は45 mg投与例、90 mg投与例とも同様で、第1年次~第5年次における発現率もおおむね一定でした。中等症~重症の尋常性乾癬を有し、最長5年間にわたりウステキヌマブの投与を受けた成人患者におけるウステキヌマブの全般的な安全性プロフィールは、安定していました。投与量や投与期間延長が安全性に対する影響は認められませんでした4
 

PSOLAR試験
デザイン:各種の乾癬治療のデータを把握することを目的とした患者登録研究で、約12,000例の登録を目標として計画されました。2011年8月の時点では、9,495例が最終年度のデータ抽出の対象となり、13,733人年のデータが得られました。研究にはウステキヌマブ投与例またはインフリキシマブ投与例のうち、全身療法が適応となる症例が登録され、半年ごとに評価を行いました。

結果:2007年の登録開始以降の感染症、悪性腫瘍(非メラノーマ皮膚癌を除く)および重大な心血管イベント(MACE)の発現率に関するプレリミナリーなデータが報告されました5-7。この国際登録研究に参加した、250以上の施設においてウステキヌマブやインフリキシマブ投与例では、悪性腫瘍、MACEまたは感染症に関する新たな安全性シグナルは認められませんでした5-7

 

  

1. Paul C et al. Long-term safety and efficacy of ustekinumab in patients with psoriasis inadequately responding to methotrexate: Week 52 TRANSIT results. Abstract presented at the 21st European Association of Dermatology & Venereology (EADV) congress, Prague 27–30 September 2012. Oral session FC02.1.

2. Reich K et al. Long-term improvement in patient-reported outcomes after transition from methotrexate to ustekinumab in moderate to severe psoriasis: TRANSIT Week 52 results. Abstract presented at the 21st European Association of Dermatology & Venereology (EADV) congress, Prague 27–30 September 2012. Poster 955.

3. Langley R et al. Long term efficacy and safety of ustekinumab in patients with moderate to severe psoriasis through 5 years of follow-up: results from the PHOENIX 2 long-term extension. Poster presented at the 21st European Association of Dermatology & Venereology (EADV) congress, Prague 27–30 September 2012. Poster 976

4. Papp K et al. Long term safety of ustekinumab in patients with moderate to severe psoriasis through up to 5 years of continuous follow-up. Poster presented at the 21st European Association of Dermatology & Venereology (EADV) congress, Prague 27–30 September 2012. Poster 965.

5. Naldi L et al. Major adverse cardiovascular events in the Psoriasis Longitudinal Assessment and Registry (PSOLAR) study: current status of observations. Abstract presented at the 21st European Association of Dermatology & Venereology (EADV) congress, Prague 27–30 September 2012. Poster 977.

6. Leonardi C et al. Serious infection events in the Psoriasis Longitudinal Assessment and Registry (PSOLAR) study: current status of observations. Poster presented at the 21st European Association of Dermatology & Venereology (EADV) congress, Prague 27–30 September 2012. Poster 977. 

7. Langley R et al. Malignancy events in the Psoriasis Longitudinal Assessment and Registry (PSOLAR) study: current dtatus of observations. Poster presented at the 21st European Association of Dermatology & Venereology (EADV) congress, Prague 27–30 September 2012. Poster 973. 

8. National Psoriasis Foundation. Related Health concerns: Psoriasis comorbidities. Available at: http://www.psoriasis.org/about-psoriasis/related-conditions. Last accessed September 2012

9. Augustin M et al. A framework for improving the quality of care for people with psoriasis. JEADV 2012; 26 (Supplement 4):1–16.
 

 

 

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ステラーラ®について
ステラーラ®は、ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤で、2008年12月にカナダで承認された後、EUでは2009年1月、米国では2009年9月に承認され、現在、乾癬に係る適応症で世界66ヶ国にて承認されています。(2012年6月時点)本邦においても、日本人乾癬患者を対象とした臨床試験において本剤の有効性・安全性が確認され、2011年1月に「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬および関節症性乾癬」を効能・効果として承認されました。

 

乾癬とは
乾癬の原因はまだわかっていませんが、遺伝要因と環境要因の双方が複雑に関与し発症すると考えられている慢性で難治性の炎症性疾患であり、非伝染性の皮膚疾患です。特徴的な皮膚症状として、1)皮膚が炎症を伴い赤くなる、2)皮膚が盛り上がる、3)乾燥した銀白色のふけのようなもの(鱗屑・りんせつ)が付着し、はがれ落ちるといったもので、患者さんの約半数には痒みがみられます。また、爪の変形や関節症状(痛み、腫れ)を伴うこともあります。更に外見上も目立つことから、患者さんの社会生活や人間関係に影響を及ぼすこともあり、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を著しく低下させる疾患として知られています。現在、日本における乾癬の推計患者数は約10万人とされており、その数は年々増加の傾向にあります。
  *平成20年度厚生労働省「患者調査」による。
  

 「乾癬ネット」について
乾癬の患者さんや家族の皆さんをはじめとする一般の方々を対象に、乾癬を知り、乾癬と上手に暮らすための支援サイト「乾癬ネット」を開設いたしました。乾癬という病気の基本的な知識やさまざまな治療法、乾癬と上手に暮らしていくためのヒントやノウハウをご紹介しています。URL : http://www.kansennet.jp/

 

 

ヤンセンについて
我々ヤンセンは、現代においてもっとも重要な「いまだ満たされない医療ニーズ」への対応と解決に力を注いでいます。これには、がん、免疫疾患、中枢神経疾患、疼痛、感染症が含まれます。患者さんへの貢献という強い意思に基づき、革新的な製品、サービスを開発提供し、健康問題の解決に努め、世界中のひとびとを支援しています。ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンのヤンセン ファーマシュ―ティカル・グループのひとつです。

 

 

将来予測に関する記述
このプレスリリースには、米国の1995年私募証券訴訟改革法で定義される「将来予測に関する記述」が含まれます。本記述を読まれる皆様は、これらの内容に依存することのないようご注意ください。また、本記述は将来の事象についての現在の予想を基礎とするものです。基礎となる前提が不正確であると判明した場合あるいは、未知のリスクや不確実性が具現化した場合、実際の結果は、ヤンセンファーマ株式会社およびジョンソン・エンド・ジョンソンの予想や見通しとは実質的に異なるものとなる恐れがあります。リスクや不確実性には、産業において一般的な条件や競争、利子や為替の変動などの経済的要因、技術的な進歩、競合他社による新製品や特許の取得、規制当局による承認の取得を含む新製品の開発に本来伴う諸課題、特許に係る問題、医療用品やサービスの購入者の行動・消費パターンの変化や財政的困窮、政府の法律や規制の変更や国内外の医療改革、医療費削減への潮流および政府機関による医療産業への監督強化などが含まれますが、これらに限定されません。これらのリスクや不確実性その他の要因については、2012年1月1日に終了した会計年度のForm 10-Kに基づくジョンソン・エンド・ジョンソンの年次報告書の添付99に詳述されています。このForm 10-Kおよび追加提出資料はオンライン(www.sec.gov, www.jnj.com )、もしくはジョンソン・エンド・ジョンソンからの請求によりご覧いただけます。ヤンセンファーマ株式会社及びジョンソン・エンド・ジョンソンのいずれも新情報や今後の事象・変化などに基づいて将来予測に関する記述を更新する義務を負いません。