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エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が、“サイレント・パンデミック”であるC型肝炎への対策として世界規模での政策刷新の必要性を訴える

公開日: 
2013/01/24

当資料は、ヤンセン社が2013年1月15日(現地時間)に発表した英文プレスリリース抜粋の翻訳版として、発表しています。従いまして、日本の状況を必ずしも反映したものではなく、正式言語が英語であるため、内容については英文リリースが優先されます。

英文サイト:
http://www.janssen-emea.com/sites/default/files/Janssen%20Economist%20Report%20Release.pdf

世界的な健康問題への包括的アプローチを専門家が提言

 

ロンドン、2013年1月15日-ヤンセンファーマシューティカN.V.社(本社:ベルギー)の教育助成金によって、「サイレント・パンデミック:C型肝炎には政策の刷新が不可欠(The Silent Pandemic: Tackling Hepatitis C with Policy Innovation)」と題された新しいレポートが発表されました。このレポートは、英国の経済誌「The Economist」の調査・コンサルタント会社であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)により発表されたもので、C型肝炎によって深刻化する社会問題や経済問題に正面から取り組む戦略を、世界の国々が早急に策定する必要があることを強調しています1)

 

感染者の総数についての公表されたデータはありませんが、世界保健機関(WHO)は、現在世界全体でおよそ1億5000万人がC型肝炎ウイルス(HCV)に感染していると推計しています2) 。そのうち最大3分の2が慢性肝疾患を発症し、5人に1人が肝硬変に至るとされています2) 。HCVは、世界における肝移植の最大の原因であり、米国でのHCV感染による死亡者数は現在HIV/AIDsによる死亡者数を上回っています1)

 

世界肝炎連盟(WHA)のチャールズ・ゴア会長は、「このレポートは、世界中でC型肝炎が大きな脅威となっているにも関わらず、各国の政府がこの疾患の規模と影響を把握しきれていなかったことを強調しており、先進国・開発途上国を問わず、政策立案者が今すぐにC型肝炎の問題に立ち向かわない限り、C型肝炎による健康被害、経済的な損失は今後も増え続けるだろう」と述べています。

 

このレポートでは、C型肝炎による深刻な影響を指摘する一方で、今日このウイルス感染症が予防可能なものとみなされていて、最新の治療法により、ほとんどのウイルスは感染者から排除することが可能だと指摘しています1) 。同時に、現在治療を受けている患者さんは全体のわずか10%にすぎず、国によって治療の状況に大きな差があることを指摘しています1) 。そのためレポートは、各国のニーズと利用できる資源を考慮した「包括的アプローチ」を採用するよう各国に求めており、その具体的内容は以下の通りです1)

 

 

・実効性のある疫学調査
この問題の全体像を正確に把握し、有効な対策を策定するためには、実効性のある疫学調査が必要です。先進国・開発途上国を問わず、優れた政策決定をもたらすような疫学研究を地域レベル、国家レベルでも実施した国はごくわずかです。EIUは、EU加盟国においても、疫学データの質が良くない、または疫学データが存在しない国が16カ国も存在すると述べています1)

 

・啓発活動
C型肝炎に伴う社会的偏見を解消し、人々の理解を高めるための啓発活動が必要です1) 。欧州肝疾患患者協会(ELPA)によるアンケート調査によれば、B型肝炎またはC型肝炎と診断された人々のうち、診断前にこの疾患について聞いたことがある人の割合はわずか20%でした1)
ELPAアンケート調査の結果は、[http://www.hepbcppa.org/wp-content/uploads/2011/11/Report-on-Patient-Self-Help.pdf]で閲覧できます。

 

・予防措置
教育の充実によって、既に感染している人が感染リスクの高い行動(注射器の使いまわしなど)を回避し、健康的なライフスタイルを選択することが望ましいことを周知する必要があります。レポートはまた、開発途上国では医療機器を介した感染(注射器の使いまわしなど)が主要なHCV感染ルートとなっていることから、このルートを介した感染を防止するための措置の必要性も指摘しています1)

 

・患者さんへの新しい情報提供方法
治療を必要とする人々が、適切なタイミングで治療を受けられるようにする必要があります1)

 

ヤンセンのグローバル肝炎リーダーであるガストン・ピッキオは「EIUレポートは、国によってニーズや利用できる資源が異なることを強調しています。しかし、私たちは、全ての国のC型肝炎および公衆衛生政策の担当者が、この感染症についての理解を深め、治療を最も必要としている人々に効果的な治療を提供する最善の方法を検討するよう訴えたいと思います。ヤンセンはC型肝炎コミュニティとともにこうした課題に取り組むことを目標に掲げ、今後も世界中の医療従事者、行政機関の担当者、支援者とともに、1人でも多くの患者さんからC型肝炎ウイルスを排除するための努力を重ねていきます」と述べています。

EIUレポート全文と情報画像などの補助資料は[http://www.janssen-emea.com/The-silent-pandemic]で公表されています。

 

C型肝炎(HCV)について
C型肝炎(HCV)は、肝臓に影響を及ぼす血液媒介感染症です3) 4) 。世界全体で推定1億5000万人がC型肝炎ウイルスに感染しており2) 、毎年300万人から400万人が新規に感染するなど、患者さんや社会に対する影響が深刻化しています5) 。WHOが公表している最新の欧州地域データによれば、2002年にHCVが原因で死亡した人の数は推定で86,000人以上に達し、疾病や障害により失われた年数を意味する疾病負荷の指数である「障害調整生命年:disability-adjusted life year(DALYs)」は120万DALYに達しています6) 。慢性化したHCV感染は、肝がん、その他の重篤な肝疾患や致死的な肝疾患につながる場合があります7) 。最新のデータでは2004年に欧州25カ国で行われた肝移植のおよそ4分の1はHCVが原因でした6)

 

1) Economist Intelligence Unit.  2012.  The Silent Pandemic: Tackling Hepatitis C with Policy Innovation.  Available at:  http://www.managementthinking.eiu.com/

2) World Health Organization. Hepatitis C Fact Sheet. Available at: http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs164/en/index.html (last accessed December 2012)

3) Simin, M et al.  2007.  Cochrane systematic review: pegylated interferon plus ribavirin vs. interferon plus ribavirin for chronic hepatitis C.  Alimentary Pharmacology & Therapeutics 25 (10): 1153-62.

4) Centres for Disease Control and Prevention. Hepatitis C FAQs. Available from: http://www.cdc.gov/hepatitis/C/cFAQ.htm#transmission (last accessed December 2012)

5) WHO. State of the art of vaccine research and development. Viral Cancers. Available from: http://www.who.int/vaccine_research/documents/Viral_Cancers.pdf (last accessed December 2012)

6) Mühlberger, N et al.  2009.  HCV-related burden of disease in Europe: a systematic assessment of incidence, prevalence, morbidity, and mortality. BMC Public Health 9 (34): 1-14.

7) Lang K & Weiner DB.  2008.  Immunotherapy for HCV infection: next steps. Expert Review of Vaccines 7 (7): 915-923.

 

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日本におけるC型肝炎について
日本は1990年代に実施された輸血用血液の検査徹底などの国家施策により、C型肝炎の新規感染予防において実績のある国の1つです。一方で、日本におけるC型肝炎ウイルスの感染者は依然として約190~230万人と推計されています*。感染しても自覚症状がないことが多いため、その多くは感染に気付かないまま、肝硬変、肝がんへと重症化してしまう可能性があり、厚生労働省を中心に、C型肝炎ウイルス検査や肝炎治療が推進されています。
[*厚生労働省健康局疾病対策課 肝炎対策推進資料「肝炎総合対策の推進について」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/06/dl/s0617-8i.pdfより]

 

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ヤンセンについて
我々ヤンセンは、現代においてもっとも重要な「いまだ満たされない医療ニーズ」への対応と解決に力を注いでいます。これには、がん、免疫疾患、中枢神経疾患、疼痛、感染症が含まれます。患者さんへの貢献という強い意思に基づき、革新的な製品、サービスを開発提供し、健康問題の解決に努め、世界中のひとびとを支援しています。ヤンセンファーマ株式会社は、ヤンセンファーマシューティカルカンパニーズのひとつです。