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抗HIV薬「シムツーザ®配合錠」の製造販売承認を取得

公開日: 
2019/06/18

ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:クリス・フウリガン、以下「ヤンセン」)は本日、抗HIV薬「シムツーザ®配合錠」(一般名:ダルナビル エタノール付加物/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合錠、以下「シムツーザ」)について、成人および小児(12 歳以上かつ体重40kg以上)を対象とし、HIV-1 感染症を効能・効果として製造販売承認を取得しました。

 

シムツーザは、ダルナビル(DRV)として800 mg、コビシスタット(COBI)150 mg、エムトリシタビン(FTC)200 mgおよびテノホビル アラフェナミド(TAF)として10 mgの4成分を固定用量で配合したフィルムコーティング錠です。日本の抗HIV治療のガイドライン1で推奨されているレジメンの有効成分を1日1回1錠で内服できる固定用量配合錠の中で、キードラッグであるプロテアーゼ阻害剤を国内で初めて配合した製剤です。服薬時の負担を軽減することにより、患者さんのアドヒアランスを向上させることが期待されています。

 

今回の承認は、2つの海外第3相試験(TMC114FD2HTX3001試験、以下「3001試験」およびTMC114IFD3013試験、以下「3013試験」)によって、シムツーザのウイルス学的効果が示されたことに基づくものです。抗HIV薬の治療経験がない成人HIV-1感染患者さんを対象とした3001試験では、主要評価項目を投与開始後48週時のウイルス学的効果(HIV-RNA量50 copies/mL未満の患者さんの割合)とし、本剤群で91.4%、DRV/COBI配合剤とFTC/テノホビル ジソプロキシフマル酸塩(TDF)配合剤との併用群で88.4%であり、シムツーザの非劣性が検証されました。プロテアーゼ阻害剤(PI)/薬物動態学的増強因子(ブースター)及びFTC/TDF配合剤の併用投与によりウイルス学的抑制が得られている成人HIV-1感染患者さんを対象とした3013試験では、主要評価項目を投与開始後48週時までのウイルス学的リバウンド(HIV-1 RNA量が50 copies/mL以上となった患者さんの割合)とし、本剤群で2.5%、治療継続群で2.1%であり、シムツーザの非劣性が検証されました。

 

なおシムツーザは、欧州では2017年9月に成人および小児(12歳以上かつ体重40kg以上)のHIV-1感染症に対する治療薬として、米国では2018年7月に抗HIV薬の治療経験がない成人またはウイルス学的に抑制された成人のHIV-1感染症に対する治療薬として承認されています。

 

ヤンセンは今後も、HIVの領域において新たな治療選択肢を提供することで、未だ満たされない医療ニーズに応え、HIV感染患者さんのQOL向上に尽力していきます。

 

「シムツーザ®配合錠」製品概要

  製品名   : シムツーザ®配合錠

  一般名   : ダルナビル エタノール付加物/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合錠

  効能・効果 : HIV-1 感染症

  用法・用量 : 通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、1回1錠(ダルナビルとして800mg、コビシスタットとして150mg、エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして10mgを含有)を1日1回食事中又は食直後に経口投与する。

 

HIV(ヒト免疫不全ウイルス) 感染症について

HIV感染症は、公衆衛生上極めて重要な、生命を脅かす重篤疾患であり、2017年に全世界で約3,690 万人が罹患していると報告されています2。一方日本では、新規のHIV 感染および後天性免疫不全症候群(AIDS)患者として年間約1,400人が報告されており、2017年の累計患者数は約2万8750人と報告されています3

 

HIV感染症の標準治療について

HIV 感染症の標準治療は、複数の抗HIV治療薬を併用し、ウイルスの複製抑制、CD4陽性リンパ球数の増加および疾患進行の抑制を目指す、抗レトロウイルス療法です。日本の抗HIV治療のガイドライン1では、抗HIV治療未経験の患者さんに対する推奨レジメンまたは代替レジメンは、バックボーン(キードラッグを補足しウイルス抑制効果を高める役割を持つ薬剤)である核酸系逆転写酵素阻害薬2剤に加えて、1剤のキードラッグ(HIVを抑制する効果がより強力な薬剤)を3 つの薬剤クラス(インテグラーゼ阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤またはプロテアーゼ阻害剤)から選択して併用する抗レトロウイルス療法とされています。

HIV感染症の治療は長期間に渡るため、患者さんが積極的に治療方針の決定に参加して治療を受けることや、服薬アドヒアランスの向上が重要です。日本の抗HIV治療のガイドライン1では「服薬率を維持するためには、1日1回投与の処方が有利であり、今後新規に治療を開始する症例には積極的に選択すべき」としています。また、抗HIV治療のメタアナリシスにおいて、1日に内服する錠数が少ないほど、服薬アドヒアランスとウイルス学的抑制率が高いことも示されています4

新規薬剤の登場とそれらの併用治療により、ウイルス複製の抑制が可能となり、HIV感染患者さんの生命予後は著しく改善されました。しかし、現在でも薬物治療のみではHIV感染患者さんからウイルスを完全に排除することはできず、生涯治療を継続する必要があります。

 

3001試験について

抗HIV薬治療未経験のHIV-1感染患者を対象に、本剤(本剤群)の有効性および安全性を検討するため、DRV/COBI配合剤とFTC/TDFの配合剤の併用(DRV/COBI、FTC/TDF併用群)を対照としたランダム化二重盲検並行群間比較試験を実施しました。FDAのsnapshotアプローチ2に基づく48週時のウイルス学的効果(HIV-1 RNA量が50copies/mL未満に維持されていた患者さんの割合)を主要評価項目とし、DRV/COBI、FTC/TDF併用群(363例のうち321例[88.4%])に対する本剤群(362例のうち331例[91.4%])の非劣性が検証されました[群間差(95%CI):2.7(-1.6~7.1)%]。

 

3013試験について

PI、ブースターおよびFTC/TDF配合剤の併用投与によりウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染患者さんを対象に、本剤1日1回投与に切り替えた際の有効性および安全性を評価するためのランダム化非盲検並行群間比較試験を実施しました。治験実施計画書の規定に基づく48週時までのウイルス学的リバウンド(HIV-1 RNA量が50copies/mL以上となった患者さんの割合)を主要評価項目とし、治療継続群(378例のうち8例[2.1%])に対する本剤群(763例のうち19例[2.5%])の非劣性が検証されました[群間差(95%CI): 0.4(-1.5~2.2)%]。

 

参考文献

  1. 平成30 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金エイズ対策政策研究事業 HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班. 抗HIV治療ガイドライン. 2019年3月.
  2. UNAIDS [homepage on the Internet]. Geneva: Joint United Nations Programme on HIV/AIDS (UNAIDS). AIDS DATA.
    Available from: http://www.unaids.org/en/resources/aids_data
  3. AIDS Prevention Information Network [homepage on the Internet].
    東京: 公益財団法人 エイズ予防財団. エイズ動向委員会報告 2018 年.
    Available from: http://api-net.jfap.or.jp/status/2018/1803/20180316_HYO-02.pdf
  4. Nachega JB, Parienti JJ, Uthman OA, et al. Lower pill burden and once-daily antiretroviral treatment regimens for HIV infection: A meta-analysis of randomized controlled trials. Clin Infect Dis. 2014 May; 58(9):1297-307.

 

ヤンセンについて

ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。

治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し希望を与えます。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。

ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。

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ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です

 

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