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ダラツムマブ皮下投与製剤である「ダラキューロ®配合皮下注」 「全身性ALアミロイドーシス」における製造販売承認を取得

2021/08/25

 

ヤンセンファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:關口修平、以下「ヤンセン」)は2021年8月25日、ヒト型抗CD38モノクローナル抗体/ヒアルロン酸分解酵素配合剤「ダラキューロ®配合皮下注(一般名:ダラツムマブ<遺伝子組換え>・ボルヒアルロニダーゼ アルファ<遺伝子組換え>製剤、以下、ダラキューロ®)について、シクロホスファミド水和物、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの併用療法(DCyBorD療法)において、「全身性ALアミロイドーシス」を効能又は効果とする製造販売承認を取得しました。希少疾患である全身性ALアミロイドーシスに対し、これまで承認された治療薬はなく、ダラキューロ®が同疾患を適応とする初めての治療薬となります1,2

 

全身性ALアミロイドーシスの治療は、その病態が多発性骨髄腫と類似しているため、自家造血幹細胞移植(ASCT)や悪性形質細胞を標的とする薬物療法(抗形質細胞療法)が国内外のガイドライン3,4,5,6,7で推奨されています。抗形質細胞療法の中でも、シクロホスファミド水和物、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンによる治療(CyBorD療法)は、有効性、安全性について報告がされている治療法です。

 

今回の承認は、国際共同第III相ANDROMEDA試験に基づいています。同試験は、未治療の全身性ALアミロイドーシス患者さんを対象に、CyBorD療法に対するダラキューロ®の上乗せ効果を評価した試験です

 

今回の承認を受け、ヤンセンの代表取締役社長 關口修平は次のように述べています。「ヤンセンは、血液腫瘍および希少疾患に対する画期的な治療薬の開発を推進し、患者さんの課題を解決すべく尽力しています。血液疾患領域における当社のこれまでの実績とコミットメントに基づき、疾患とともに生きる患者さんの生存に寄与するため、これからもダラキューロ®の可能性を最大限に探索して参ります」

 

また、ヤンセンの研究開発本部 本部長アマール・シャルマは次のように述べています。「今回の承認は、希少疾患とともに生きる患者さんの症状を改善するという当社の取り組みを反映したものです。これからも、必要とされるより多くの患者さんのために、ダラキューロ®の可能性を追求して参ります」

 

ANDROMEDA試験8について

同試験は、未治療の全身性ALアミロイドーシス患者さんを対象とした、ランダム化、非盲検、実薬対照、多施設共同、国際共同第III相試験で、ダラツムマブ皮下投与製剤をシクロホスファミド水和物、ボルテゾミブ、デキサメタゾンと併用(DCyBorD療法群)した場合の有効性と安全性を、シクロホスファミド水和物、ボルテゾミブ、デキサメタゾンを投与する群(CyBorD療法群)と比較検討する試験9です。同試験には、新たに全身性ALアミロイドーシスと診断され、測定可能な血液学的病変を有し、1つ以上の臓器病変を有する388名の患者さんが組み入れられました9。試験の主要解析において、主要評価項目である血液学的完全奏効(hemCR)率は、DCyBorD療法群で53%、CyBorD群で18%でした(P<0.0001)10。 また6か月時点での臓器奏効率は、心臓ではDCyBorD群で42%、CyBorD群で22%、腎臓では、DCyBorD療法群で54%、CyBorD群で27%でした10。そして安全性評価において、DCyBorD群は血液学的奏効および臓器奏効を示し、安全性における新たな懸念はありませんでした11。なお、臨床試験ではMayo Clinic Cardiac Staging Systemに基づく心臓病期stageIIIb、NYHA分類クラスIIIB又はIVの患者さんは除外されています。

 

全身性ALアミロイドーシスについて

全身性ALアミロイドーシスは国の指定難病で、2014年に実施された全国疫学調査による国内推定患者数は、3,200例とされています3,9。アミロイドーシスはアミロイドと呼ばれるナイロンに似た線維状の異常蛋白質が全身の様々な臓器に沈着し、機能障害をおこす病気の総称です。複数の臓器にアミロイド蛋白が沈着する全身性アミロイドーシスと、特定の臓器に限局してアミロイド蛋白が沈着する限局性アミロイドーシスに分類されます。全身性アミロイドーシスのうち、ALアミロイドーシスは、異常形質細胞より産生されるモノクローナル免疫グロブリン軽鎖に由来するアミロイド蛋白の沈着により、心臓、腎臓、脾臓、肝臓など、多臓器障害を引き起こし、その臓器障害により生存率の低下や疾患の転帰に影響を及ぼす予後不良の疾患です。

 

ダラツムマブについて

ダラツムマブは、CD38を標的とするモノクローナル抗体です。ダラツムマブ皮下投与製剤であるダラキューロ®は、日本では2021年3月に多発性骨髄腫の治療薬として承認され、同年5月に発売されました。多発性骨髄腫、全身性ALアミロイドーシスの2つの疾患にわたり、5つの治療レジメンで使用されます。

2012年8月、ヤンセンはジェンマブ社と独占的なグローバルライセンスおよび開発契約を締結し、ダラザレックス®を開発、製造、および商品化しました。2015年の海外での承認以来、世界中で14万3,000人以上の患者に投与されています。

 

ヤンセンについて

ヤンセンが目指すのは、病が過去のものになる未来をつくることです。
治療が困難な病を過去のものとするために、科学の力で病に打ち克ち、画期的な発想力で多くの人々に薬を届け、真心を持って癒し、希望をお届けします。私たちはがん、免疫疾患、精神・神経疾患、ワクチン・感染症、代謝・循環器疾患、肺高血圧症の分野で貢献ができると考え、注力しています。
ヤンセンに関する詳しい情報はwww.janssen.com/japan/をご覧ください。
www.facebook.com/JanssenJapan/をフォローしてください。

ヤンセンファーマ株式会社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門であるヤンセンファーマグループの一員です。

 

【本件に関するお問合せ先】

 ヤンセンファーマ株式会社 コミュニケーション&パブリックアフェアーズ部

TEL:03-4411-5046   FAX: 03-4411-5050   E-mail: [email protected]

 

参考文献

 

  1. Desport, E., Bridoux, F., Sirac, C. et al. AL Amyloidosis. Orphanet J Rare Dis 7, 54 (2012). https://doi.org/10.1186/1750-1172-7-54
  2. Dispenzieri A., Merlini G. et al. Immunoglobulin Light Chain Systemic Amyloidosis. Cancer Treat Res 169, 273-318 (2016). https://doi.org/10.1007/978-3-319-40320-5_15 .
  3. 造⾎器腫瘍診療ガイドライン 2018 年補訂版[2020 年4 月] ⼀般社団法⼈ ⽇本⾎液学会
  4. アミロイドーシス診療ガイドライン. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業アミロイドーシスに関する調査研究班. 2010.
  5. National Comprehensive Cancer Network. NCCN guidelines version 1.2020. Systemic light chain amyloidosis. 2019.
  6. Wechalehar AD, Gillmore JD, Bird J, et al. Guidelines on the management of AL amyloidosis. BrJ Haematol. 2015;168:186-206
  7. The Risk Adapted Approach to Management of Multiple Myeloma and Related Disorders
    [homepage on the Internet]. Mayo clinic; [update 2019 August]. Treatment Guidelines:
    Amyloidosis. Available from:
    https://static1.squarespace.com/static/5b44f08ac258b493a25098a3/t/5d7fd7...
  8. Janssen Research & Development, LLC. A Study to Evaluate the Efficacy and Safety of Daratumumab in Combination With Cyclophosphamide, Bortezomib and Dexamethasone (CyBorD) Compared to CyBorD Alone in Newly Diagnosed Systemic Amyloid Light-chain (AL) Amyloidosis. In: ClinicalTrials.gov [Internet]. Bethesda (MD): National Library of Medicine (US). 2000-[cited 2018 July 24]. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03201965 Identifier: NCT03201965.
  9. Shimazaki C. Current diagnosis and treatment of AL amyloidosis in Japan: a nationwide epidemiological survey. Rinsho Ketsueki. 2019;60:973-8.
  10. Clinical Study Report 54767414AMY3001
  11. Palladini G, et al. Blood . 2020. Epub ahead of print.